コンテンプト・オブ・コート 7-35
アンカレッジ郊外。
コールの黒いセダンが、倉庫の並ぶ一角に入ってきた。周囲には人通りがなく、道路脇には使われていない資材や空のコンテナが置かれている。
セダンは奥にある倉庫の前で止まった。
運転席からコールが降りる。倉庫の入口には、男が数人立っていた。全員が周囲に目を配り、そのうち二人は拳銃を携帯している。コールの姿を確認すると、男たちは入口を開けた。
コールは彼らに短く何かを告げ、倉庫の中へ入っていった。
セダンを追ってきたエイダンとジムは、少し離れた道路脇に車を停めていた。
「ここか」
ジムがフロントガラス越しに倉庫を見た。
エイダンは双眼鏡を取り出し、入口付近を確認する。
「見張りがいる。しかも、武装している」
「ただ事じゃないな」
「市長が一人で来る場所じゃない。何かある」
エイダンは双眼鏡を下ろした。
入口の男たちは交代する様子もなく、周囲を警戒していた。倉庫の窓は少なく、外から中の様子をうかがうことはできない。建物の脇には搬入口があり、大型車両が出入りできる構造になっていた。
「カーターはここにいると思うか?」
ジムが尋ねた。
「可能性は高い。コールはカーターから何かを聞き出すつもりだろう」
エイダンは倉庫の入口を見つめた。
コールの周辺を調べていた二人は、カーターが何らかの理由でコールの手下に捕らえられた可能性を考えていた。
そして今、その疑いを裏づける場所が目の前にある。
「中に入るか?」
ジムが聞いた。
「今は駄目だ。中に何人いるか分からない」
「カーターが危険だぞ」
エイダンは携帯電話を取り出した。画面を確認し、マイクの番号を呼び出す。
数回の呼び出し音の後、マイクが出た。
『どうした?』
「見つけたぞ、カーターはまだ生きてるようだ」
電話の向こうで、マイクの声が変わった。
『どこだ?』
「アンカレッジ郊外の倉庫だ。コールが中に入った。入口には武装した見張りがいる」
『カーターもそこにいるのか?』
「ここまでコールが直接出向いてきた。カーターを捕らえていると考えるのが自然だ」
エイダンは地図アプリを開き、現在地を確認した。倉庫の位置を特定し、マイクに位置情報を送信する。
「届いたか?」
『確認した。すぐに向かう』
通話が切れた。
エイダンは携帯電話をしまい、再び倉庫を見た。
入口では、男たちが相変わらず周囲を警戒していた。時折、車が通り過ぎるものの、誰も近づこうとはしない。
ジムは車内から倉庫の周囲を確認した。
「裏手にも出入口がありそうだな」
「後で確認しよう」
エイダンは前方を見つめた。
カーターがまだ生きているのなら、時間は限られている。コールが何を聞き出そうとしているのかは分からない。だが、カーターがコールに情報を渡すつもりがないことは、これまでの行動から明らかだった。
