SHARE:

WHOがエボラ封じ込め作戦を開始、コンゴで感染拡大続く

今回の流行はエボラウイルスの中でも珍しい「ブンディブギョ株」と呼ばれる型によるもので、現時点では承認済みのワクチンや特効薬がない。
2026年5月31日/コンゴ民主共和国、北東部イトゥリ州ブニア、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長(左)と関係者(ロイター通信)

世界保健機関(WHO)は5日、アフリカ中部で拡大する「エボラ出血熱」の流行を封じ込めるため、5億1800万ドル(約830億円)規模の包括的対応計画を開始したと発表した。感染の中心地となっているコンゴ民主共和国と隣国ウガンダでの対策強化に加え、周辺諸国への感染拡大を防ぐための監視体制整備や国境検疫の強化を進める方針である。

今回の流行はエボラウイルスの中でも珍しい「ブンディブギョ株」と呼ばれる型によるもので、現時点では承認済みのワクチンや特効薬がない。このため、患者の早期発見や接触者追跡、隔離措置などの公衆衛生対策が感染拡大防止の鍵を握っている。

WHOによると、コンゴではこれまでに381人の感染が確定し、62人が死亡した。ウガンダでも19人の感染と2人の死亡が報告されている。感染者数は依然として増加傾向にあり、医療機関や保健当局が対応に追われている。WHOは今回の流行について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言し、各国に警戒を呼びかけている。

WHOのテドロス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は5日、感染拡大の背景として流行の発見が遅れたことを挙げた。発生は今年1月ごろとみられるが、当局が感染を把握したのは5月だった。初動の遅れにより、広範囲に拡散したとみられている。

さらに、紛争や治安悪化も対策を困難にしている。感染地域の一部では紛争が続き、医療従事者への襲撃や地域住民の不信感が問題となっている。接触者追跡率は低く、検査体制の不足や物流網の混乱も対応を妨げている。WHOは安全確保のため、国連平和維持部隊から装甲車両の提供を受けるなど支援体制を強化している。

一方で、回復者も徐々に増えている。医療支援の拡充によって一部患者が治癒し、WHOは適切な治療を早期に受ければ生存率を高められるとしている。研究機関や製薬企業もワクチンや治療薬の開発を急いでいるが、実用化にはなお時間を要する見通しだ。

WHOは今回の計画について、政治的な支援と国際社会による継続的な資金拠出が不可欠だと強調している。感染拡大を食い止めるためには、各国政府や支援機関、地域社会が連携して対応する必要があり、今後数カ月が流行抑制の正念場となりそうだ。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします