◎政府に批判的なジャーナリストは罪をでっち上げられ、逮捕される可能性がある。
2021年10月10日/チュニジア、首都チュニス、サイード大統領の統治に抗議するデモ(Riadh Dridi/AP通信)

チュニジアの控訴裁判所は24日、3カ月以上勾留されていた反政権派ジャーナリストの保釈を許可した。

地元メディアによると、このジャーナリストは男性。判事は男性に渡航禁止を命じたうえで保釈を許可した。保釈金100万ディナール(約4500万円)。

男性の弁護士は声明で、「24日に保釈金を収めた」と述べている。

この男性は今年2月にマネーロンダリング(資金洗浄)と不正蓄財の疑いで逮捕されたが、弁護団は検察の告発を「真っ赤なウソ」と非難している。

弁護士のひとりは25日、フェイスブックに声明を投稿し、「政府に批判的なジャーナリストは罪をでっち上げられ、逮捕される可能性があるため、注意してほしい」と呼びかけた。

当局はサイード(Kais Saied)大統領に反対する組織やNGOの代表を相次いで逮捕している。人権団体は政府に異論を唱えた組織や個人に対する弾圧が強まっていると非難している。

首都チュニスの地裁は先週、対テロ作戦の詳細をリークしたとされるジャーナリストに懲役5年を言い渡した。

サイード氏は2021年7月末に当時の首相を解任したうえで議会を閉鎖し、権力を手中に収めた。

野党と活動家はサイード氏の強硬措置をクーデターと非難し、各地で抗議デモを続けている。議会は昨年3月に解体され、12月に議会選が行われたものの、投票率は10%にとどかず、今年1月の第2回投票も悲惨な結果に終わった。

同国の独裁政権は2011年の「アラブの春(ジャスミン革命)」により退陣し、報道や表現の自由などを高める新しい民主主義体制に移行したものの、サイード氏の強硬政策により、報道の自由度は独裁政権時代に近いレベルまで低下した。

現在、野党議員、ジャーナリスト、弁護士、女性活動家など、少なくとも20人の著名な反政権派がさまざまな容疑で拘束されている。

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