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エクアドル大統領、治安対策の成果を強調、米国との連携強化

エクアドルでは近年、麻薬密輸を巡る暴力事件が急増している。
南米エクアドルのノボア大統領(AP通信)

エクアドルのノボア(Daniel Noboa)大統領は24日、首都キトで行った年次教書演説で、米国の支援を受けた犯罪対策の成果を強調し、麻薬カルテルや犯罪組織に対する取り締まりを今後も強化する方針を示した。ノボア氏は「犯罪者を追跡し、発見し、米国へ引き渡す」と述べ、治安回復を政権の最優先課題に掲げた。

エクアドルでは近年、麻薬密輸を巡る暴力事件が急増している。コロンビアとペルーという世界有数のコカイン生産国に挟まれた地理的条件から、麻薬輸送ルートの中継地となっており、地元ギャングと国際犯罪組織が結び付くことで治安が急速に悪化した。2025年には人口10万人当たり50件の殺人事件が記録され、過去数十年で最悪の水準に達した。

ノボア政権はこうした事態に対処するため、非常事態宣言を繰り返し発出し、軍と警察による合同パトロールや令状なしの家宅捜索を認める強硬策を推進してきた。今年3月には、米軍とエクアドル軍が合同で麻薬カルテルの拠点を攻撃する作戦を実施し、米国との軍事協力を大幅に拡大させた。政府はこれまでに10数人の犯罪組織幹部を米国に引き渡し、約300トンの違法薬物を押収したとして成果を誇示している。

一方で、人権団体や市民団体からは、軍事力に依存した治安対策への批判も強まっている。 シンクタンク「国際危機グループ」は24日、暴力抑止の進展は限定的だと指摘し、「エクアドルの状況は前例のないレベルに達している」と警鐘を鳴らした。強硬策によって市民の安全が脅かされているとの懸念も根強く、失踪や拷問など人権侵害疑惑も報告されている。

それでもノボア氏は、治安改善が経済回復につながっていると主張する。演説では、2025年の貧困率が26%から21.4%へ、極度の貧困率も10.4%から8.4%へ低下したと説明し、「国民が恐怖の中で暮らす限り国家の発展はない」と訴えた。ノボア氏は2023年の選挙で初当選し、昨年の大統領選で再選を果たしている。

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