◎ダルフール地方のアフリカ系部族は2003年、アラブ系で構成される旧軍事政権に攻撃を仕掛け、ダルフール紛争が勃発した。
スーダン、西部ダルフール地方の集落(Ashraf shazly/AFP通信/Getty Images)

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は13日、チャドに避難したスーダン難民と受け入れ側が教育の課題を処理できずにいると警告した。

スーダン西部ダルフール地方ではアラブ系とアフリカ系部族の対立が激化し、この数カ月で数百人が死亡、数千人が隣国チャドに逃亡したと推定されている。

チャド東部の難民キャンプで5歳~7歳の児童約100人に勉強を教えている女性教師はUNHCRに、「報酬を得られなくても、将来の世代に勉強を教え、多くのことを学んでもらいと思っている」と語った。

この女性教師を含む多くのボランティアが難民キャンプで奉仕している。

UNHCRはレポートの中で、「学ぶことで紛争や過激派の思想を防ぐうえができる」と指摘している。

しかし、紛争に巻き込まれ難民になった子供たちをサポートすることは容易ではない。

UNHURによると、この難民キャンプにはトラウマや家庭の問題を抱えた児童が数えきれないほどいるという。教師は勉強を教えつつ、児童の心の問題にも対処しなければならない。

両親や兄弟を失った児童も少なくない。

2年前に両親と避難した児童はUNHCRに、「高等教育を受け、修士号を取得し、もっとたくさん勉強したい」と語った。「勉強すれば道が開けると信じています。そうすれば、家族だけなく、困っている人も助けることができます...」

UNHURによると、喫緊の課題は勉強するスペースの確保だという。授業は主に屋外で行われるため、雨が降ると中止したり規模を縮小せざるを得ない。

ダルフール地方のアフリカ系部族は2003年、アラブ系で構成される旧軍事政権に攻撃を仕掛け、ダルフール紛争が勃発した。

2019年に追放された独裁者のオマル・バシル (Omar al-Bashir)はアラブ系部族を武装化し、ジャンジャウィードと呼ばれるアラブ系武装民兵をこの地域に送り込んだと告発されているが、バシルはこの告発を否定している。

国連の平和維持活動(PKO)である国連・AUダルフール合同活動(UNAMID)は2020年末に活動を終了したものの、現地の人道機関は部隊の再配備を要請している。

紛争開始以来、ダルフールの住民約40万人がチャドに逃れ、主に難民キャンプで生活している。UNHCRが取材した東部のキャンプは2020年初め頃に運用を開始し、約1万4000人を受け入れている。

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