◎ソマリアは国内で消費する小麦の約90%をロシアとウクライナから調達していたため、両国の貿易停滞で大打撃を受けた。
ソマリアの難民キャンプ(AP通信/PAメディア)

国連人道問題調整事務所(OCHA)は6日、歴史的な干ばつに見舞われているソマリア飢饉を回避するためには、少なくとも10億ドルの追加援助が必要と呼びかけた。

ソマリアを含む東アフリカ諸国は4回連続で雨期を逃し、今年の雨季も厳しい結果が予想されている。

OCHAのグリフィス(Martin Griffiths)事務次長はソマリアの首都モガディシュで開催されたオンライン会議で、「今年10月~12月の間に飢饉を宣言する可能性がある」と警告した。

同国で2011年に発生した飢饉では約25万人が餓死したと推定されている。

グリフィス氏は国際社会に、「飢饉だけは是が非でも食い止めなければならない」と呼びかけた。

またグリフィス氏は世界の国連大使に対し、「国連が現在要請している支援プラス、10億ドル以上の追加支援が必要である」と説明した。

米国際開発庁(USAID)は今年7月に4億7600万ドルの人道・開発援助を寄付している。

一方、USAIDが創設した飢餓早期警報システムネットワーク(FEWS NET)は5日に公表した報告書で、「緊急の人道支援がなければ、ソマリア南東部の3地域で今年後半までに飢饉が発生すると予測される」と指摘した。

FEWS NETによると、ソマリア全土で最大710万人が今、急性栄養失調の治療を必要としている。

ソマリアを含む東アフリカ諸国では推定2000万人が危険にさらされている。エチオピアとケニアも干ばつと食料不足も深刻だ。

グリフィス氏はFEWS NETの報告書を引用し、「この地域は今年も雨期を逃す可能性が高く、さらに、来年1月~3月の雨季もほとんど雨が降らないと予想されている」と指摘した。

グリフィスはソマリアの干ばつを「前代未聞」と評し、「誰も経験したことのない危機が迫っている」と警告した。「国連はアフリカの角(東アフリカ)で起こるつつある飢饉の可能性に警鐘を鳴らし続けてきましたが、恐怖は現実になりつつあります...」

国連世界食糧計画(WFP)は最近、最大530万人のソマリア人に援助を提供していると報告した。援助の98%は現金で支給しているという。

しかし、それでも数千万人が援助を手にできず、各地の難民キャンプを転々とし、食料を探している。

グリフィス氏は「大規模な亡命を避けるために。人々が国境を越える前に援助を届けることが重要である」と述べた。

地方の住民は主に家畜で生計を立てているが、国連によると、この干ばつで推定300万頭の家畜が死んだり、食料を確保するために屠殺されたという。

ソマリアは国内で消費する小麦の約90%をロシアとウクライナから調達していたため、両国の貿易停滞で大打撃を受けた。現在の食料・燃料価格の高騰も危機に拍車をかけている。

2022年6月15日/ソマリアの国内避難民キャンプ(Abdulkadir Mohamed/Norwegian Refugee Council)
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