エチオピア・ティグレ州で国軍とTPLFが衝突、和平合意崩壊の危機
戦闘が起きたのは、ティグレ州西部のスーダン国境近くとされる。
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エチオピア北部ティグレ州の西部で武力衝突が発生し、中央政府とティグレ人民解放戦線(TPLF)が互いに停戦違反を非難し合っている。2022年11月に締結されたプレトリア(南ア)和平合意後、最も深刻な戦闘の一つとみられ、国際社会では内戦再燃への懸念が高まっている。
戦闘が起きたのは、ティグレ州西部のスーダン国境近くとされる。政府はTPLFが先に攻撃を開始したと主張する一方、TPLFは連邦軍やアムハラ州の武装勢力が侵攻したことへの自衛措置だったと反論しており、双方の主張は大きく食い違っている。8月1日時点で死傷者数は明らかになっていないが、住民の避難が始まるなど地域の緊張が急速に高まっている。
ティグレ州では2020年から2022年まで続いた内戦により数十万人規模の死者が出たとされ、数百万人が避難を余儀なくされた。2022年のプレトリア合意によって戦闘は終結したものの、ティグレ州の帰属問題や武装解除、避難民の帰還など多くの課題が未解決のまま残されている。特にティグレ州はアムハラ州も領有権を主張しており、和平後も散発的な衝突が続いてきた。
さらに、TPLF内部の権力対立や地方政治の混乱も情勢を複雑にしている。近年、暫定州政府を巡る対立が激化し、一部勢力が州都メケレの行政機関を掌握するなど政治的混乱が続いていた。こうした内部対立に加え、中央政府と隣国エリトリアとの関係悪化も地域全体の不安定化を招いているとみられる。
国際社会は事態の悪化に強い懸念を示している。専門家は、今回の衝突が局地戦にとどまらず、北部全域に拡大すれば、2022年の和平合意そのものが崩壊しかねないと警告する。ティグレ州では依然として多くの住民が食料・医療不足に直面しており、新たな戦闘は人道危機を深刻化させる恐れがある。
エチオピア政府は和平合意の履行を継続する姿勢を示しているが、TPLF側は政府がティグレ州からアムハラ系武装勢力を撤退させていないことが合意違反だと主張している。一方、政府側はTPLFが依然として武装解除を実施していないと批判するなど、相互不信は解消されていない。
和平実現には停戦監視体制の強化と政治対話の再開が不可欠であるが、今回の戦闘は和平プロセスの脆弱さを浮き彫りにした。アフリカ連合(AU)や国際社会には、双方に自制を求めるとともに、対話の再開を後押しする役割が求められている。
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