コンテンプト・オブ・コート 3-39
アンカレッジ市内。
裏通り。
マイクとエイダンは、長身の男を追っていた。
男は路地を突き進み、角を曲がる。
「右だ!」
エイダンの声が後ろから聞こえた。
マイクは足を速めた。
男がさらに先の路地へ入る。
その先には、古い地下道の入口があった。
男が階段を下りていく。
マイクも続いた。
エイダンが別の通路へ回る。
「俺は向こうから回る!」
「ああ!」
マイクは地下道へ入った。
その様子を、ローリーが遠くから見ていた。
マイクとエイダンが分かれた。
ローリーは一瞬、立ち止まる。
そして、マイクが入った地下道を見る。
「……もう」
ローリーは走り出した。
地下道へ入り、階段を下りる。
薄暗い通路の奥に、マイクの姿が見えた。
「マイク!」
マイクが振り返る。
「ローリー?」
その瞬間、前方から男が飛び出してきた。
マイクが身構える。
男は懐から拳銃を取り出した。
銃口がマイクへ向く。
だが、引き金に指がかかる前に、マイクが腕を払った。
拳銃が床へ落ちる。
男がバランスを崩す。
マイクが踏み込んだ。
拳が男の顔に入る。
男の体が壁に叩きつけられる。
「逃げるな」
男は表情を変えず、マイクをにらみつける。
マイクが近づく。
男は拳を握り、マイクの攻撃に備える。
「……なんだお前ら」
マイクは立ち止まり、男の顔を見る。
男はポケットからナイフを取り出した。
そして、突然ローリーへ向かって走った。
「ローリー!」
男がローリーの腕をつかむ。
ナイフが首元へ向けられた。
「動くな!」
マイクが足を止めた。
男はローリーを背後から押さえる。
「……近づくと女を殺す」
ローリーは息を止めた。
マイクは男を見ていた。
表情は変わらない。
「……彼女に傷ひとつでもつけたら、生きたまま内臓を引きずり出してやる」
男の手がわずかに動く。
「……」
「ナイフを下ろせ」
「お前ら、何者だ?」
マイクは動かない。
ローリーが小さく息を吐く。
男の視線が一瞬だけマイクから外れた。
地下道の奥で、エイダンの足音が聞こえた。
男がそちらを見る。
その瞬間だった。
マイクが踏み込んだ。
男の手が動く。
マイクはナイフを素手でつかんだ。
刃が手のひらに食い込む。
男が驚く。
「なっ――」
マイクが男の顔へ頭突きを叩き込む。
鈍い音が地下道に響く。
男の体が揺れる。
マイクはナイフを奪い取った。
そのまま男の腹に拳を入れる。
男が壁にぶつかる。
マイクは続けて拳を入れた。
男の体が床へ落ちる。
それでもマイクは止まらなかった。
男の胸ぐらをつかみ、壁へ押しつける。
「何を知ってる?」
男は答えない。
マイクがもう一度拳を振り上げる。
「マイク!」
ローリーが叫んだ。
マイクの拳が止まった。
「もう十分よ」
マイクは息を整え、男の顔を見る。
「本当に殺すつもり?」
マイクは拳を下ろした。
男を床へ放す。
エイダンが二人のところまで来た。
倒れている男を見る。
「ボロボロだな」
マイクは答えなかった。
血のついた手を見る。
それから、床に落ちた男を見下ろした。
「聞きたいことがある」
男は床に横たわったまま、天井を見ていた。
