コンテンプト・オブ・コート 3-37
アンカレッジ市内。
マイクたちの車が、市街地を走っていた。
運転しているのはエイダン。
助手席にはマイク。
ローリーは後部座席にいる。
マイクは前方を見ていた。
「いた」
エイダンが速度を落とす。
マイクは前方の車を指した。
黒いセダン。
運転席にはコールの秘書が乗っている。
「間違いない」
ローリーが窓の外を見る。
「どこへ向かってるの?」
「分からない」
しばらくして、黒いセダンが大通りから外れた。
古い建物が並ぶ地区へ入っていく。
やがて、一軒の古い建物の前で止まった。
秘書が車から降りる。
周囲を確認する。
そして、建物の中へ入っていった。
エイダンが車を少し離れた場所に止める。
「ここか」
「ああ」
マイクは建物を見る。
ローリーも窓から外を見た。
「普通の建物ね」
マイクが車を降りる。
エイダンとローリーも続く。
三人は建物から離れた場所まで移動した。
入口が見える位置で止まる。
マイクは時計を見る。
数分が過ぎた。
建物の中で、人影が動いた。
マイクが目を細める。
「誰かいる」
エイダンも見る。
建物の窓越しに、秘書と男が向かい合っていた。
男は四十代くらい。
帽子をかぶっている。
顔はよく見えない。
秘書が何かを話している。
男は黙って聞いていた。
やがて秘書が封筒を取り出し、男に渡す。
マイクは目を細めた。
「見たことのない顔だな」
エイダンが男を見る。
「あいつは移民の密入国を支援している人身売買組織の構成員だ」
ローリーが振り返る。
「知ってるの?」
「名前までは知らない」
エイダンは男の情報を頭の中で整理した。
「噂は聞いたことがある」
「どんな?」
「金を払えば何でもやるらしい」
マイクは建物の中を見た。
秘書が男に何かを確認している。
男は短く答えた。
その後、二人は離れた。
ローリーが小声で言う。
「コールの秘書がなぜ密航ブローカーと?」
「分からない」
マイクは建物の入口を見る。
「だから追う」
やがて、秘書が建物から出てきた。
男が少し遅れて出てくる。
秘書はそのまま黒いセダンへ向かった。
男は反対方向へ歩き出した。
マイクが言う。
「エイダン」
「ああ」
エイダンが頷く。
マイクは男を見る。
ローリーが言う。
「私も行く」
マイクは首を振った。
「お前は車で待機しろ」
「でも――」
「だめだ」
ローリーは少し黙った。
「分かった」
マイクとエイダンが男の後を追う。
男は大通りへ出た。
マイクとエイダンが距離を保ちながら歩く。
「気づかれるなよ」
「分かってる」
二人は男の後を追った。
その先には、人通りの少ない裏通りが続いていた。
マイクは男の背中を見ながら歩いた。
コールの秘書は、なぜこの男と接触したのか。
それを聞き出す必要がある。
