エジプト中銀、約2年7カ月ぶり利上げ、通貨安とインフレ再燃を警戒

利上げは通貨の安定や海外投資資金の流入を促す可能性がある半面、企業や家計の借り入れ負担を増やし、設備投資や住宅購入を抑制する恐れもある。
エジプト、首都カイロ、中央銀行本店(ロイター通信)

エジプト中央銀行は29日、主要政策金利を1ポイント引き上げると発表した。利上げは2024年3月以来で、預金金利を年19%から20%に、貸出金利を20%から21%に引き上げる。通貨エジプトポンドの下落や国際情勢の不透明感を背景に、輸入物価の上昇を抑え、インフレ期待を安定させる狙いがある。ロイター通信のエコノミスト調査では、13人全員が金利据え置きを予想していた。

エジプトでは通貨安が進み、ポンドは週初めに対ドルで過去最安値となる1ドル=56ポンドを記録した。輸入品への依存度が高い同国では、通貨安が燃料や食料などの価格を押し上げる懸念が強まっている。さらに、中東情勢の緊迫化に伴うエネルギー・商品価格の上昇も、物価の先行きを不透明にしている。

一方、消費者物価指数(CPI)は鈍化傾向にある。都市部の9月のインフレ率は前年同月比で13.9%増となり、8月の14.5%から低下した。食品などを除くコアインフレ率も14.1%と、前月の14.9%から下がった。ただし、月次では物価上昇圧力が残り、中銀はインフレ抑制の手を緩められないと判断した。

利上げは通貨の安定や海外投資資金の流入を促す可能性がある半面、企業や家計の借り入れ負担を増やし、設備投資や住宅購入を抑制する恐れもある。政府にとっても国債などの利払い費が増え、財政を圧迫する要因となる。

中銀は2026年第3四半期(7~9月)のGDP成長率について、第2四半期(4~6月)と同程度の4.7%前後を見込んでいる。製造業やサービス業、貿易が景気を支えているものの、通貨安と物価上昇が長引けば回復を損なう可能性がある。

今回の利上げは景気への負担を伴いながらも、通貨と物価の安定を優先する政策判断となった。

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