コンテンプト・オブ・コート 7-38
アンカレッジ郊外。コールのセダンは幹線道路を外れ、倉庫や資材置き場が点在する一角へ入っていった。周囲に人影はなく、道路沿いには使われていない建物が並んでいる。
セダンは古い建物の裏手で止まった。
ジョニーが先に降り、周囲を確認した。少し離れた場所に、白いセダンが一台停まっていた。カーターが使っていた車だった。
「これです」
ジョニーが後部座席のドアを開けた。
車内には段ボール箱が積まれていた。箱の一つには「捜査資料」と書かれている。ジョニーはそれを取り出し、蓋を開けた。
中には書類の束や写真、銀行の取引記録らしき資料が入っていた。
コールは一枚を手に取り、目を通した。
「……あの野郎」
「車に残っていたのはこれだけです」
コールは別の書類をめくった。そこには企業名や口座の記録、土地取引に関するメモが記されていた。自分たちの関係を示す情報が、いくつも残されている。
ジョニーも箱の中身を確認した。
「全部持ち帰りますか?」
「いや。残しておく理由はない」
コールは書類を箱に戻した。
「車ごと処分する」
ジョニーはうなずき、段ボール箱を車内に戻した。ジョニーが用意していたガソリンの容器を取り出す。コールは周囲を見回し、人影がないことを確かめた。
ジョニーは車の周囲にガソリンをまき、残った分を車内にも流し込んだ。
作業を終えると、二人は白いセダンから離れた。
コールは振り返り、車を見る。
ジョニーが火をつけた。
炎が車体に広がる。黒煙が立ち上り、窓ガラスの内側が赤く染まった。車内の書類や写真も、次々と炎に包まれていく。
二人は黒いセダンに乗り込んだ。
「行くぞ」
コールが言った。
セダンは建物の裏手を離れ、道路へ出ていった。
その少し後方。
ジムの車が道路脇に停まっていた。コールたちを追ってきたが、建物の陰に入られたため、いったん距離を置いて様子をうかがっていた。
ジムはフロントガラス越しに、燃え上がる白いセダンを見つめた。
「……あいつら」
車体から炎が上がり、黒煙が空へ伸びていく。やがて、車内から大きな音がした。
数分後、燃え広がった炎の中で爆発が起きた。
衝撃音が周囲に響き、火の粉が飛び散る。
「くそっ……」
ジムは車を降り、燃え上がる車を見た。近づくことはできない。すべて炎に包まれていた。
