フランス大統領がケニア訪問、東アフリカとの関係強化模索
これまでフランスは、西アフリカの旧植民地を中心に軍事・経済・政治面で強い影響力を保持してきた。
とマクロン仏大統領(AP通信).jpg)
フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領が10日、ケニアを訪問し、首都ナイロビで開催される「アフリカ・フォワード・サミット」に出席する。今回の訪問は旧宗主国としてアフリカで大きな影響力を維持してきたフランスが、近年進めている対アフリカ政策の転換を象徴するものとして注目されている。
この首脳会議はフランスとアフリカ諸国との新たな関係構築を掲げるもので、英語圏の国で開催されるのは初めてとなる。これまでフランスは、西アフリカの旧植民地を中心に軍事・経済・政治面で強い影響力を保持してきた。いわゆる「フランサフリック」と呼ばれる体制では、フランス軍が各地に駐留し、政治的関与を続けてきたが、近年は「上から目線の支配的な姿勢だ」との反発が強まっていた。
特にマリ、ブルキナファソ、ニジェールなどサヘル地域ではクーデターが相次ぎ、フランス軍は撤退を余儀なくされた。ロシア系勢力の進出もあり、フランスの影響力低下が鮮明になっている。2025年には西アフリカからのフランス軍撤退が完了し、マクロン政権は従来型の軍事依存外交からの転換を迫られていた。
こうした中で、マクロン政権は英語圏の東アフリカへ接近を強めている。ケニアはフランス語圏ではなく、イギリスとの歴史的関係が深い国だが、経済成長や地域外交で存在感を高めている。フランスはケニアを東アフリカ進出の重要拠点と位置付け、再生可能エネルギー、インフラ、人工知能(AI)、農業分野での協力拡大を狙っている。
マクロン氏とナイロビでルト(William Ruto)大統領と会談、原子力エネルギーや交通、農業などに関する11の協定に署名した。ルト氏は「新しい時代のパートナーシップだ」と述べ、アフリカ諸国が単なる援助の受け手ではなく、対等な協力関係を求めていると強調した。マクロン氏も「アフリカの人々への敬意が必要だ」と語り、過去の植民地主義的姿勢から脱却する考えを示した。
ただし、フランスの新路線には懐疑的な見方も少なくない。ケニア国内では一部野党勢力が「フランスは形を変えた新植民地主義を進めている」と批判している。また、中国がアフリカで巨額のインフラ投資を続ける中、フランスの影響力回復は容易ではない。実際、ケニアでは高速道路建設計画をめぐり、フランス企業案が退けられ、中国企業が受注した経緯もある。
さらに、アフリカ諸国は近年、欧米だけでなく中国、ロシア、中東諸国など複数の大国との関係を使い分ける「多極外交」を強めている。今回のサミットはそうした地政学的変化の中で、フランスが新たな立ち位置を模索する試金石とも言える。マクロン政権が掲げる「対等なパートナーシップ」が実際に定着するのか、今後の動向が注目されている。
