ボリビア・モラレス元大統領、人身売買裁判を欠席、法廷侮辱罪
モラレス氏はコチャバンバ県チャパレを拠点とし、支持基盤である数万人の農民らが警察の接近を阻止している。
.jpg)
南米ボリビアの司法当局は11日、未成年者の人身売買事件の公判に出廷しなかったとして、モラレス(Evo Morales)元大統領を法廷侮辱罪に問う判断を下した。地元メディアによると、裁判所はモラレス氏に対する拘束命令も維持しており、政治的混乱が続く同国で司法と元指導者の対立がさらに深まっている。
モラレス氏は2006年から2019年まで3期にわたり大統領を務めた。先住民出身として初めて国家元首となり、貧困削減政策や資源国有化を推進したことで支持を集めた一方、長期政権化への批判も強まっていた。2019年の大統領選を巡って不正疑惑が浮上すると、大規模な抗議デモが発生し、最終的に辞任に追い込まれた。
今回の裁判では、モラレス氏が大統領在任中の2016年、未成年の少女と関係を持ち、子どもをもうけた疑いが争点となっている。検察側は人身売買や未成年者保護法違反にあたる可能性があるとして捜査を進めてきた。これに対し、モラレス氏側は「政治的迫害だ」と反発している。
モラレス氏は11日、自身のSNSで、「政府による司法とメディアを使った迫害の犠牲者だ」と主張した。さらに、「私を道徳的にも肉体的にも抹殺しようとしている」と訴え、現政権による“ロー・フェア(司法戦争)”だとの認識を示した。支持者らも捜査開始以来、各地で抗議デモを展開しており、裁判に強く反発している。
ボリビアではモラレス派と現右派政権との対立が激化している。かつて盟友関係にあった中道政党との亀裂も決定的となり、主導権争いが続いている。今回の裁判は単なる刑事事件にとどまらず、同国の政治権力闘争の一部として受け止められている。
現地報道によると、モラレス氏はコチャバンバ県チャパレを拠点とし、支持基盤である数万人の農民らが警察の接近を阻止しているという。過去にも逮捕令状の執行が試みられたが、支持者による暴動が激化し、実現しなかった。
一方、検察側は100点以上の証拠を確保しているとして、今後も訴追を継続する姿勢を示している。裁判所が今回の欠席を重大視したことで、モラレス氏の法的立場はさらに厳しさを増す可能性がある。
かつて「南米左派の象徴」と呼ばれたモラレス氏を巡る問題は、ボリビア国内だけでなく中南米政治にも波紋を広げている。支持者は依然として根強いが、長期化する司法問題によって、その政治的影響力にも陰りが見え始めている。
