◎今回の倉庫焼き討ちはラカイン州の人道状況が劇的に悪化していることを示している。
ミャンマー北部シャン州、民主派勢力の兵士(ロイター通信)

国連の世界食糧計画(WFP)は24日、ミャンマー西部ラカイン州の食料倉庫が略奪被害に遭い、放火による焼失したと明らかにした。

それによると、事件は23日に発生。ラカイン州郊外の民主派勢力が支配する地域にある倉庫が被害に遭ったという。

WFPは声明で、「この倉庫には1175トンの食料とその多物資が保管されていた」と述べた。

またWFPは「この倉庫には約6万4000人に1か月分の食料を提供できる量が保管されていた」と明らかにした。

さらにWFPは全ての紛争当事者に対し、「人道施設や資産が尊重され、保護され、緊急支援を必要とする人々の安全を保障し、人道回廊への攻撃を控えるなど、国際人道法に基づいて行動しろ」と懇願した。

WFPは略奪の実行犯を特定しなかった。ラカイン州で軍政と対峙する「アラカン軍」は軍政の兵士と、その同盟者であるゲリラの犯行と非難した。

しかし、ミャンマー国外に拠点を置く支援団体「自由ロヒンギャ連合(FRC)」の創設者はAP通信の取材に対し、「アラカン軍と国軍の両方が2万袋以上の米を保管するWFP倉庫の略奪と焼き討ちに関与した」と語った。

アラカン軍、東部カレン州の少数民族ゲリラ「カレン民族同盟(KNU)」、チン州の反体制派「チン民族戦線(CNF)」などからなる民主派勢力は昨年10月、中国国境に近い北部で反攻を開始。複数の地域から国軍を追い出した。

民主派勢力の支配地域は拡大し続け、中国国境沿いの北東部の広い範囲を占領。投降した一部の兵士を取り込むことに成功した。

アラカン軍はラカイン州の複数の都市を制圧。同州内にある軍政の基地に総攻撃を仕掛ける準備を進めているとみられる。

今回のWFP倉庫焼き討ちはラカイン州の人道状況が劇的に悪化していることを示している。

国連によると、ラカイン州の広い範囲で激しい戦闘が続いている。2021年の政変とその後の内戦による避難民の数は300万人を超えた。

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