SHARE:

台湾中銀が政策金利据え置き、9会合連続、成長率見通しは引き上げ

台湾経済は世界的なAI投資拡大の最大の受益者の一つとなっている。
台湾中央銀行のエンブレム(ロイター通信)

台湾中央銀行は18日の理事会で、政策金利を2.0%に据え置くことを決定した。一方で、人工知能(AI)関連需要の急拡大を背景に2026年の経済成長率見通しを大幅に引き上げるとともに、物価上昇圧力への警戒感を強める姿勢を示した。

中銀は今年の実質国内総生産(GDP)成長率予測を7.25%から9.45%へ引き上げた。世界的なAIブームによって半導体需要が急増しており、台湾企業がその恩恵を大きく受けているためだ。とりわけAI向け先端半導体の供給を担う半導体産業が絶好調で、輸出や設備投資の拡大が経済成長を押し上げている。台湾経済は2025年にも8.68%成長を記録、15年ぶりの高成長となっていた。

理事会では市場の予想通り、9会合連続の金利据え置きが決まったが、全会一致ではなかった。複数の理事がインフレリスクへの懸念を表明し、金融政策をより引き締め方向で考える必要があると主張したという。楊金龍(Yang Chin-long)総裁は記者会見で、「現時点では利上げを行う段階ではないが、今後の判断は経済指標次第だ」と述べ、物価動向を注視する考えを示した。

実際、インフレ圧力は強まりつつある。5月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.2%増となり、中銀が警戒ラインとしている2%を上回った。背景には中東情勢の緊張などによるエネルギー価格の上昇がある。これを受けて中銀は今年のインフレ率予測を1.8%から1.91%に引き上げた。2%未満ではあるものの、物価上昇リスクは従来より高まっているとの認識を示している。

市場関係者の間では、現段階で直ちに利上げが必要な状況ではないとの見方が優勢だ。証券会社やエコノミストらはインフレ率が3%近くまで上昇しない限り中銀は慎重姿勢を維持すると予想している。また、米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を据え置いたことも、台銀が現状維持を選択した要因の一つとみられている。

台湾経済は世界的なAI投資拡大の最大の受益者の一つとなっている。しかし、その急成長は同時に物価上昇や資産価格の過熱という課題ももたらしてきた。中銀は成長見通しに自信を示す一方で、インフレが想定以上に加速した場合には政策変更も辞さない構えを見せており、今後の金融政策は景気拡大と物価安定の両立が最大の焦点となりそうだ。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします