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ベトナム・ハノイで都市開発進む、地元住民とあつれき、抗議デモも

ベトナム共産党は高い経済成長率の実現を掲げ、ハノイを今後100年を見据えた国際都市へ発展させる計画を推進している。
2026年6月11日/ベトナム、ハノイ市内の通り(AP通信)

ベトナムの首都ハノイで大規模な都市再開発が急速に進んでいる。新たな道路や橋、住宅地、洪水対策設備などの建設が相次ぎ、政府は経済成長と都市機能の強化を目指す。一方で、長年暮らしてきた住民の立ち退きや街並みの変化、路上商売への規制強化が地域社会に大きな影響を及ぼしており、近代化と歴史・生活文化の保全をどう両立させるかが課題となっている。

ベトナム共産党は高い経済成長率の実現を掲げ、ハノイを今後100年を見据えた国際都市へ発展させる計画を推進している。2026年上半期だけで24億ドル余りを投じ、約1500件の開発事業のための用地取得を進めた。計画には新たな環状道路や橋梁、公共交通網の整備に加え、気候変動による洪水への対策や大気汚染の軽減を目的としたインフラ整備も含まれる。

市内を流れる紅河(ホン川)両岸では総額280億ドル規模の再開発計画が進み、公園や新市街地、排水施設などを整備する構想が打ち出されている。また、ベトナム最大の財閥ビングループが出資する352億ドル規模のスポーツ施設建設計画も進行中で、大型スタジアムを中心とした新たな都市空間の形成が予定されている。

しかし、こうした開発は住民の生活基盤にも大きな変化をもたらしている。道路建設のため自宅を取り壊された女性は、補償金が支払われないまま家族と賃貸住宅で暮らし、今後どこへ移転するのかも分からない状況が続くという。再開発予定地では住宅や商店の解体が進み、長年親しまれてきた街並みや地域コミュニティが失われつつある。紅河沿いの地区では住民らが「この土地に住み続けたい」と書かれた横断幕を掲げ、計画の見直しを求めるなど、異例の抗議行動も起きている。

市中心部では景観改善や歩道確保を目的に、違法駐車や露天商、歩道への商品・テーブルの張り出しを取り締まる運動も進められている。旧市街ではパトカーが巡回し、飲食店に歩道上の椅子や机を撤去するよう呼び掛けている。牛肉麺店を営む女性はAP通信の取材に対し、店先の数席が使えなくなったことで売り上げが落ち込み、「利益はもともと少ないのに、さらに厳しくなった」と語った。わずかな街路の変化でも、路上経済に依存する人々にとっては生活を左右する問題となっている。

専門家は、道路や公共交通網の整備は外国企業の投資を呼び込み、経済発展を後押しする一方、不動産価格の高騰や開発企業の債務増加、銀行融資への影響といった経済的リスクも指摘する。また、住民との十分な協議や適切な補償を欠いたまま再開発が進めば、歴史ある街並みや地域文化が失われる恐れがあると警鐘を鳴らす。

これまで郊外への拡張が中心だったハノイは、今後は既存市街地を再構築する段階へ移行する。経済成長を実現しながら、市民の暮らしや都市の歴史をいかに守るかが、ハノイの将来を左右する重要な課題となっている。

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