◎男性同士の性行為(オーラルセックス含む)を禁じる刑法第377A条はイギリス植民地時代に導入された。
シンガポールのLGBTQプライド・パレード(Getty Images)

シンガポール政府は21日、イギリス植民地時代に導入された男性同士の性行為を犯罪とする法律を廃止すると発表した。

リー・シェンロン(Lee Hsien Loong)首相は建国記念日「ナショナルデー」集会の演説で、「ゲイセックスを認めることは正しいことだと信じている」と語った。

「成人男性の私的な性行為は法と秩序の問題を引き起こしません。それで人を起訴したり、犯罪者として扱うべきではなく、正当な理由もありません。廃止措置は現在の社会通念に合致するものであり、シンガポールの同性愛者の方々に少しでも安心感を与えることができればと思っています...」

リー氏は、「廃止は限定的なものであり、結婚の定義や学校教育など、シンガポールの伝統的な家族・社会構造には決して影響を与えない」と約束した。

またリー氏は「憲法を改正し、同性婚に関する異議申し立てを禁じる」とした。「ゲイセックスを認めても、シンガポールの伝統的な結婚制度は維持されます。政府は伝統を保護するために憲法を改正するでしょう。そうすることで、初めてこの法律を廃止することができます...」

男性同士の性行為(オーラルセックス含む)を禁じる刑法第377A条はイギリス植民地時代に導入された。これに違反した男性は懲役2年以下に処される可能性がある。

政府は2007年にこれを廃止するかどうかを議論した際、「法律は残すが違反しても罰しない」と表明した。

しかし、ゲイ男性の多くがこの法律が頭から離れず、差別されているように感じると主張している。毎年数千人のLGBTQ+(性的少数者)活動家が法律の廃止とゲイ男性の保護を求める集会を開催してきた。

リー氏は今回の決定について、「保守的な宗教団体と同性愛者のシンガポール人を満足させるものになると期待している」と述べた。

リー氏の甥のひとりは同性愛者であることを公表している。またリー氏の弟であるリー・シェンヤン(Lee Hsien Yang)氏の息子は2019年に南アフリカで男性と結婚した。

他の旧イギリス植民地でもゲイセックスを犯罪とする法律が残っている。マレーシアでは元副首相がソドミー法違反で有罪判決を受け2度投獄された。

一方、インドの最高裁は2018年、ゲイセックスを犯罪とする法律(懲役10年以下)を違憲と裁定した。

アジアの一部地域では同性婚を合法化する動きが進んでおり、台湾が2019年に第1号となった。タイ議会も最近、同性婚を合法化する計画を承認した。

2022年5月26日/日本、東京都千代田区、シンガポールのシェンロン首相(Eugene Hoshiko/AP通信)
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