◎フェイスブックは2018年、ロヒンギャに対するヘイトスピーチの取り締まりが不足していたと認め、謝罪した。
2018年1月22日/バングラデシュ、コックスバザールのロヒンギャ難民キャンプ(Getty Images/AFP通信)

英BBCニュースによると、英国および米国の弁護団と数十人のロヒンギャ難民がフェイスブックを運営するメタ・プラットフォームズに対する訴訟を起こしたという。

報道によると、団体はメタ社に宛てた書簡の中で、フェイスブックの投稿がロヒンギャに対する暴力を助長したと述べ、1,500億ドル(約17兆円)以上の補償を要求した。

ミャンマー軍は2017年中頃からイスラム系少数民族ロヒンギャに対する厳しい取り締まりを開始し、100万人以上が隣国バングラデシュへの亡命を余儀なくされた。

軍は逃げ遅れた女性や子供をレイプし、家屋を焼き払い、少なくとも10,000人以上を虐殺したと伝えられている。国連と世界の人権団体は一連の弾圧を「民族浄化」と呼び厳しく非難した。

BBCによると、英国の法律事務所はメタ社に宛てた書簡の中で、次のように述べたという。

・フェイスブックのアルゴリズムはロヒンギャに対するヘイチスピーチを増幅させた。

・同社はミャンマーの政治情勢に精通している担当者やチェック体制に投資しなかった。

・同社はロヒンギャに対するヘイトスピーチや暴力を扇動する投稿およびアカウントの削除に失敗した。

・同社は国連や人権団体が警告したにもかかわらず、適切かつタイムリーな行動を取らなかった。

米国の弁護団は6日、ロサンゼルスの裁判所に訴状を提出した。弁護団は訴状の中で、フェイスブックは東南アジアの小さな国でプラットフォームを浸透させるために、ロヒンギャに対するヘイトを見過ごし、彼らの命と生活を犠牲にしたと非難した。

米国の弁護団はロイター通信などが調査したヘイトスピーチを引用した。あるユーザーは2013年に、「ヒトラーがユダヤ人にしたように行動しなければならない」と投稿し、ロヒンギャ難民を弾圧するよう呼びかけていた。

また別のユーザーは、「ロヒンギャに燃料を注ぎ、火をつけ、アッラー(イスラム教の唯一絶対神)に早く会えるようにしなさい」と投稿し、「ロヒンギャを焼き殺せ」と煽った。

フェイスブックは2018年、ロヒンギャに対するヘイトスピーチの取り締まりが不足していたと認め、謝罪した。ミャンマーのフェイスブックユーザーは2,000万人以上(総人口の約40%)と伝えられている。

国連も2018年にフェイスブックの取り締まりが効果的に機能していないことを非難している。

フェイスブックはその後、ロヒンギャの大量虐殺を主導したミャンマー軍のミン・アウン・フライン司令官と他の軍事指導者のアカウントを停止した。また同社は今年2月、ミャンマー軍に関連する全てのアカウントと軍が管理する国営企業の広告を停止した。

2018年11月17日/バングラデシュ、コックスバザール地区のバルカリ難民キャンプ(AP通信/ダーヤ・シン)
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