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フィリピン議会上院、サラ副大統領の弾劾決議案採決へ

フィリピン下院は今月、賛成多数で弾劾訴追案を可決した。
フィリピンのサラ・ドゥテルテ副大統領(AP通信)

フィリピンの議会上院は18日、サラ・ドゥテルテ(Sara Duterte)副大統領の弾劾決議案の審議を開始した。マルコス政権とドゥテルテ一族の対立が激化する中、フィリピン政界は深刻な政治的混乱に直面している。

サラ氏は機密費の不正使用や説明不能な資産形成、さらにマルコス・ジュニア(Ferdinand Marcos Jr.)大統領とその家族に対する脅迫的発言などの疑惑を受けている。フィリピン下院は今月、賛成多数で弾劾訴追案を可決した。上院がこれを承認すれば、サラ氏は副大統領職を失うだけでなく、将来の公職就任資格も剥奪される可能性がある。

今回の騒動はかつて協力関係にあったマルコス・ジュニア氏とドゥテルテ陣営の決裂を象徴する出来事となっている。2022年大統領選では、マルコス・ジュニア氏とサラ氏が事実上の連合を組み圧勝した。しかし、その後は権力配分や安全保障政策を巡る対立が表面化し、両陣営の関係は急速に悪化した。

政治危機に拍車をかけているのが、サラ氏の父でドゥテルテ(Rodrigo Roa Duterte、勾留中)前大統領を巡る問題だ。国際刑事裁判所(ICC)は同氏が推進した「麻薬戦争」に関して、「人道に対する罪」の疑いで捜査を進めている。さらに、当時警察トップとして作戦を主導したデラローサ(Ronald dela Rosa)上院議員についてもICCが逮捕を求めており、議会周辺で混乱が続いている。先週には、デラローサ氏の拘束を巡って上院施設内で発砲騒ぎが発生し、政界に大きな衝撃を与えた。

サラ氏は現在、オランダ・ハーグに滞在し、ICCでの審理に直面する父親を支援している。本人はすべての疑惑を否定したうえで、「マルコス政権による政治的迫害だ」と反発している。一方、マルコス陣営は、弾劾手続きは議会の独立した判断によるものだと説明し、政権の関与を否定している。

フィリピンでは過去にも大統領や最高裁長官に対する弾劾が行われてきたが、副大統領が罷免されたことはない。2028大統領選の有力候補とされるサラ氏の政治生命を左右するだけでなく、国内政治全体の勢力図を塗り替える可能性もあり、審議の行方に注目が集まっている。

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