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イランの人権活動家モハンマディ氏が退院、自宅に戻る、再収監の可能性も

モハンマディ氏は54歳。女性の権利擁護や死刑廃止運動で知られ、2023年にノーベル平和賞を受賞した。
イラン、ノーベル平和賞を受賞した女性人権活動家のナルゲス・モハンマディ氏(AP通信)

イランのノーベル平和賞受賞者で人権活動家のモハンマディ(Narges Mohammadi)氏が心臓疾患の治療を受けていたテヘラン市内の病院を退院し、自宅へ戻ったことが18日、家族側の財団によって明らかになった。同氏は数週間前、刑務所内で心臓発作を起こし、緊急搬送されていた。家族側は「継続的な治療と安静が必要な状態だ」として、刑務所への再収監を行わないよう当局に求めている。

モハンマディ氏は54歳。女性の権利擁護や死刑廃止運動で知られ、2023年にノーベル平和賞を受賞した。当時もイラン国内で服役中であり、授賞式には出席できなかった。彼女は長年にわたり指導部の人権弾圧を批判してきた人物で、これまでに何度も逮捕・投獄されている。

今回の入院は5月初旬に北西部の刑務所で意識を失ったことがきっかけだった。家族によると、同氏は3月末にも心臓発作を起こした疑いがあり、その後も血圧の異常や呼吸器系の症状が続いていたという。医師団は、肺の血栓や動脈閉塞の悪化も確認しており、長期間にわたる専門的治療が必要と診断している。

イラン当局はモハンマディ氏に対し、保釈金を条件に一時的な刑執行停止を認め、テヘラン市内の病院への移送を許可した。家族側は今回の退院について「完全な回復にはほど遠い」と説明し、自宅で毎日の理学療法と経過観察を続ける必要があるとしている。娘は声明で、「母を刑務所へ戻せば死刑宣告に等しい」と訴え、恒久的な釈放を求めた。

国際社会でも懸念が高まっている。ノルウェーのノーベル委員会は今月初め、「彼女の命はイラン政府の判断に委ねられている」として即時釈放を要求した。さらに100人を超えるノーベル賞受賞者らも共同声明を発表し、モハンマディ氏の無条件釈放と適切な医療提供を求めている。声明では、平和的な人権活動を理由とした拘束は不当であり、医療放置は重大な人権侵害だと非難した。

イランでは近年、女性の服装規制や政治的自由を巡る抗議運動が続く中、政府による社会への締め付けも強まっている。モハンマディ氏はその象徴的存在とみなされ、彼女の健康悪化は国内外で大きな注目を集めている。一方、イラン政府は今回の退院について公式コメントを出しておらず、再収監される可能性も残されている。

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