武装集団がポリオワクチン予防接種チームを襲撃、警察官2人殺害 パキスタン
中央政府は18日から全国規模のポリオワクチン接種キャンペーンを開始し、1900万人の子どもへの接種を目指している。
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パキスタン北西部カイバル・パクトゥンクワ州で18日、ポリオワクチン予防接種チームの警護にあたっていた警察官2人が武装集団に射殺された。事件はアフガニスタン国境に近い同州バジャウル地区で発生し、当局は武装勢力による襲撃とみて捜査を進めている。中央政府は18日から全国規模のポリオワクチン接種キャンペーンを開始し、1900万人の子どもへの接種を目指している。
地元警察によると、襲撃は別々の場所で起きた。警察官たちはポリオ接種チームの警備任務を終えて帰宅する途中、バイクに乗った武装集団に銃撃されたという。犯人たちは発砲後、そのまま現場から逃走した。治安部隊は周辺地域で大規模な捜索作戦を展開している。現時点で犯行声明を出した組織は確認されていない。
当局はTTP(パキスタンのタリバン運動)などイスラム武装勢力の関与を疑っている。これらの過激派は以前から、ポリオワクチン接種活動を「西側諸国による陰謀」と主張してきた。特に「イスラム教徒の子どもを不妊化するための計画」とする偽情報が広まり、接種活動への攻撃が繰り返されている。1990年代以降、パキスタンではポリオ従事者や警護にあたる警察官200人以上が殺害されている。
パキスタンと隣国アフガンはポリオを根絶できていない世界最後の2カ国である。パキスタン政府は毎年、全国規模の予防接種キャンペーンを実施しているが、治安悪化や偽情報の拡散によって接種活動は困難を極めている。特にアフガン国境地帯では武装勢力の活動が活発で、医療従事者が危険にさらされてきた。
近年、パキスタン北西部ではテロ事件が急増している。今月にはバンヌ地区で自爆テロと銃撃が発生し、警察官15人が死亡したほか、別の市場爆破事件でも警察官を含む多数の死傷者が出た。政府はこれらの攻撃の背後にアフガン領内に拠点を置く武装勢力がいると非難しており、両国関係も緊張を深めている。
パキスタン内務省は18日、「国家の未来を守る任務に就いていた警察官への卑劣な攻撃を強く非難する」と声明を出した。また、犠牲となった警察官の家族に哀悼の意を表し、「ポリオ根絶への取り組みは決して止めない」と強調した。政府は全国の接種チームに対し、追加の警備部隊を配置する方針を示している。
国際機関も今回の襲撃に懸念を示している。世界保健機関(WHO)はパキスタンにおけるポリオ根絶は世界全体の公衆衛生にとって重要だと指摘、暴力によって接種活動が妨げられることに深刻な懸念を表明した。武装勢力による攻撃が続く中、パキスタン政府は治安維持と感染症対策という二重の課題に直面している。
