太平洋諸国、中国の弾道ミサイル発射に懸念表明、非難声明では足並みそろわず
太平洋島しょ国の一部は、発射について十分な事前通告がなかったことを問題視している。
首脳会議の記者会見場(AP通信).jpg)
パラオで開かれた「太平洋諸島フォーラム(PIF)」首脳会議は3日、中国が7月に太平洋上で実施した弾道ミサイル発射について「懸念」を表明した。一方、加盟国が一致して中国を非難する共同声明の採択には至らず、太平洋地域で中国の影響力が拡大する中、加盟国間の立場の違いが改めて浮き彫りになった。
今回のミサイル発射は、中国が太平洋上で行ったものとしては2024年9月以来となる。太平洋島しょ国の一部は、発射について十分な事前通告がなかったことを問題視している。パラオのウィップス(Surangel Whipps)大統領は太平洋諸国の主権や安全保障に関わる問題だとして、加盟18カ国が一致した立場を示す必要性を訴えていた。
しかし、会議では中国への対応をめぐって意見が分かれた。最終的には、ミサイル発射について「懸念を表明する」とする表現にとどまり、明確な非難には踏み込まなかった。ナウルはこの文言に反対し、キリバスも重要な協議に出席しなかったため、太平洋諸国が中国に対して完全に統一した姿勢を示すことはできなかった。ニュージーランドのラクソン(Christopher Luxon)首相は団結の重要性を強調した。
背景には、太平洋地域をめぐる中国と米国、その同盟・友好国との競争がある。中国は太平洋島しょ国に対してインフラ整備や経済支援などを通じて影響力を拡大してきた。一方、米国やオーストラリア、ニュージーランドも安全保障や経済協力を強化しており、太平洋は大国間競争の舞台となっている。
特に中国と台湾の関係も今回の首脳会議を複雑にした。パラオは台湾と外交関係を維持する数少ない太平洋島しょ国の一つで、中国は台湾の国際的な活動に反対している。今回の会議では台湾側の参加をめぐっても緊張が生じ、複数の太平洋諸国の首脳が欠席して閣僚らを代理出席させた。
太平洋島しょ国にとって、最大の課題は大国間競争に巻き込まれることを避けながら、自国の主権と安全を守ることである。気候変動や経済発展といった共通課題も抱える中、中国の軍事活動にどのような姿勢を示すのかは、今後のPIFの結束を左右する重要な問題となる。
