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北朝鮮・金正恩、前線部隊の戦力強化を指示=国営メディア

北朝鮮は2026年に入り、軍事力増強を一段と加速させている。
北朝鮮、金正恩 党総書記(朝鮮中央通信社/AP通信)

北朝鮮の金正恩(Kim Jong Un)総書記が韓国との軍事境界線付近に展開する前線部隊の戦力強化を指示した。国営朝鮮中央通信(KCNA)が18日に報じた。それによると、キムは17日に行われた朝鮮人民軍の師団長・旅団長会議での演説の中で「戦争をより徹底的に抑止するためには前線部隊の強化が不可欠だ」と述べ、軍の即応態勢と現代戦への対応能力を高める必要性を強調した。

KCNAによると、キムは部隊運用や訓練体系の見直しを指示し、「現代戦の変化に合わせた軍事教育と戦術能力の向上」が必要だと述べた。特に韓国国境地帯の前線部隊については、火力や機動力を強化し、指揮系統の迅速化を進めるよう命じたという。近年のウクライナ戦争などを通じ、無人機や精密誘導兵器が戦場の様相を大きく変えていることを意識した発言とみられている。

北朝鮮は2026年に入り、軍事力増強を一段と加速させている。今月初めには、キムが韓国の首都ソウルを射程に収める新型155ミリ自走砲の生産現場を視察したと報じられた。北はこの砲システムが「陸上作戦に大きな変化と優位をもたらす」と説明しており、韓国側への通常戦力による圧力を強める狙いがあるとみられる。

また、北は核・ミサイル戦力の強化も継続している。今年1月にはキムが朝鮮労働党大会で「次段階の核戦争抑止力強化計画」を提示すると表明した。短距離弾道ミサイルなど、韓国全域を攻撃可能な兵器の開発も進められている。専門家の間では、ロシアとの軍事協力を通じて得た実戦データが北朝鮮兵器の性能向上につながっているとの見方もある。

北と韓国の関係は近年急速に悪化している。政府は米国との軍事協力、合同演習を継続している。一方、北はこれを「侵略準備」と非難し、対抗措置としてミサイル発射や軍備増強を繰り返してきた。2024年以降、南北間の軍事合意の一部は事実上破棄され、非武装地帯周辺では監視所再建や砲撃訓練の再開が相次いだ。

さらに北はロシアとの関係を急速に深めている。ウクライナ戦争をめぐり、北はロシアへの兵士派遣、兵器供与、軍事支援を行っていると米韓両政府から指摘されている。キム自身も今月、ロシアの対独戦勝記念日に合わせて祝電を送り、「両国の防衛協力を最優先事項として維持する」と強調した。

今回の発言は北が通常戦力と核戦力の双方を強化しながら、韓国と米国への抑止力を誇示する狙いを改めて示した形だ。韓国、米国、日本は北の動向を注視しており、朝鮮半島情勢は今後も緊張が続く見通しとなっている。

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