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米連邦裁判所、ベネズエラ前大統領の側近を起訴、収賄罪など

サーブ被告はコロンビア生まれで、食品供給事業「CLAP」を通じて巨額の利益を得たとされる。
2024年10月18日/ベネズエラ、首都カラカス、マドゥロ大統領(左)とアレックス・サーブ氏(AP通信)

ベネズエラのマドゥロ(Nicolas Maduro、勾留中)前大統領に近い実業家アレックス・サーブ(Alex Saab)容疑者が18日、米国への送還後にマイアミ連邦地裁で収賄・資金洗浄関連の罪で起訴された。サーブ被告は長年にわたりマドゥロ政権の「資金管理役」を務め、米当局が進める汚職捜査の中心人物となっている。今回の送還はベネズエラ国内の権力構造の変化を象徴する動きとして注目を集めている。

サーブ被告はコロンビア生まれで、食品供給事業「CLAP」を通じて巨額の利益を得たとされる。米司法省によると、被告は政府契約を不正に取得するため、政府高官らに賄賂を渡し、複数のペーパーカンパニーを利用して資金を洗浄した疑いがある。CLAPは低所得層向け食料配給制度として始まったが、以前から価格の水増しや不透明な契約が問題視されていた。

サーブ被告は2020年、西アフリカのカーボベルデで拘束され、その後米国へ移送された。しかし2023年、米国人拘束者の解放を条件とした米・ベネズエラ間の囚人交換で恩赦を受け釈放されていた。今回の再拘束は今年1月にマドゥロが米軍によって拘束された後に行われた大規模な反汚職捜査の一環とみられている。

米国との関係改善を推進するロドリゲス(Delcy Eloína Rodríguez Gómez)暫定大統領がサーブ被告の送還を決定した。政権側は「サーブはベネズエラ国民ではなく、身分取得も不正だった」と説明しているが、かつて政府が外交官待遇を与えていた人物を突如引き渡したことに対し、国内では矛盾を指摘する声も上がっている。特にマドゥロ派勢力からは反発が出ており、政権内部の対立激化も懸念されている。

米当局はサーブ被告がマドゥロ前政権の資金の流れを知る重要証人になる可能性があるとみている。マドゥロも現在、ニューヨークで麻薬密輸や汚職関連の罪に問われており、検察側は政権ぐるみの腐敗構造の解明を進めている。サーブ被告が司法取引に応じれば、政権中枢に関する新たな証言が明らかになる可能性がある。

今回の事件は長年続いたマドゥロ体制の崩壊後も、なお混乱が続くベネズエラ政治の現状を浮き彫りにしている。暫定政権は国際社会との関係改善を模索しているが、旧政権関係者の摘発が進むことで国内の政治対立がさらに深まる可能性もある。サーブ被告の裁判は今後のベネズエラ情勢を左右することになりそうだ。

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