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パキスタン軍、サウジアラビアに戦闘機部隊と兵士数千人を派遣

パキスタンとサウジは歴史的に強い軍事関係を維持してきた。
サウジアラビアのサルマン皇太子(左)とパキスタンのシャリフ首相(AP通信)

パキスタンがサウジアラビアに対し、戦闘機部隊と数千人規模の兵力を派遣していたことが明らかになった。ロイター通信によると、派遣はイランとの軍事的緊張が急速に高まった今年4月以降に本格化し、現在までに約8000人の兵士に加え、中国と共同開発したJF17戦闘機部隊、無人機(ドローン)部隊、中国製HQ9防空システムがサウジ国内に展開している。パキスタンとサウジの軍事協力が新たな段階に入った形だ。

ロイター通信は関係筋の話しとして、「この派遣は2025年に締結された相互防衛協定に基づくもの」と伝えている。協定の詳細は非公開だが、どちらかが攻撃を受けた場合に相互支援を行う内容とされる。必要に応じて最大8万人規模のパキスタン兵をサウジへ派遣できる条項も含まれているという。

派遣された戦力は「訓練・助言任務」と説明されているものの、実際には高い戦闘能力を備えている。展開中の戦闘機は16機で、その大半がJF17戦闘機とされる。さらに2個飛行隊規模の無人機部隊、防空ミサイルシステムHQ9も配備され、すべてパキスタン軍要員が運用しているという。こうした装備はイランによるミサイルやドローン攻撃への防衛を強化する狙いがあるとみられている。

背景には、中東情勢の急激な悪化がある。2月末にイランと米イスラエルとの軍事衝突が激化し、サウジ国内でも石油関連施設が被害を受けた。サウジは報復としてイラン領内への秘密攻撃を行ったとも報じられており、湾岸諸国を巻き込む全面戦争への懸念が高まっている。こうした中、パキスタンはサウジ防衛への直接関与を強めた。

一方で、パキスタンは同時にイラン戦争の仲介役も務めている。シャリフ政権は米国とイランの対話を仲介し、停戦合意の成立にも関与した。しかし、サウジへ大規模な戦力を派遣していた事実が判明したことで、「中立的な調停者」としての立場に疑問を呈する声も出ている。

パキスタンとサウジは歴史的に強い軍事関係を維持してきた。過去にもパキスタン軍はサウジ国内で訓練や警備任務に従事し、サウジ側は経済危機に陥ったパキスタンへ繰り返し金融支援を提供してきた。近年は中国製兵器を軸に防衛協力が拡大し、今年1月にはサウジがパキスタン製JF17戦闘機の導入を検討しているとも報じられた。

今回の派兵は中東の勢力図にも影響を与える可能性がある。特に中国系兵器システムが湾岸地域で本格運用されることは、従来の米国中心の安全保障体制に変化が生じていることを示している。イラン情勢が不安定化する中、パキスタンの軍事的存在感は今後さらに高まる可能性がある。

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