◎抗議デモが本格的な紛争に発展した結果、ミャンマーの児童・学生約780万人が学校に通えなくなった。
2021年2月20日/ミャンマー、最大都市ヤンゴン、軍事政権に抗議する子供たち(Getty Images/EPA通信)

国連は今週、軍事政権の支配下に置かれているミャンマーで教育を受けられない子供が急増し、「失われた世代」を生み出す可能性があると警告した。

ミャンマーの人権問題を担当するアンドリュース(Tom Andrews)特別報告者は声明で、「軍は国民を服従させるために、大人だけでなく子供にも執拗に攻撃を加えている」と非難した。

またアンドリュース氏は、「子どもたちは取り締まりだけでなく、人道に対する罪や戦争犯罪に相当する残虐行為に直面している」と指摘した。

ミャンマー軍は昨年2月、民主的な選挙で選出されたアウンサンスーチー( Aung San Suu Kyi)氏ら政府高官を拘束し、軍事政権を発足させた。

軍の支配に反対するデモは全国に広がり、地方都市の一部の少数民族はゲリラ部隊を結成し、徹底抗戦する構えを見せている。

人権監視団体「政治犯支援協会(AAPP)」によると、クーデター以降の軍の取り締まりで死亡した市民は2000人近くに達し、今も1万1000人以上が拘留されている。

アンドリュース氏は、「軍は少なくとも142人の子どもを殺害し、1400人以上を恣意的に拘束している」と述べた。

同氏によると、3歳以下の児童数人を含む少なくとも61人の子どもが「人質」として拘束され、142人が拷問を受けたという。

アンドリュース氏は活動家の情報を引用し、「多くの子供が殴られ、刺され、タバコで焼かれ、歯を抜かれ、爪を剥がされたという確かな情報を得た」と説明した。

またアンドリュース氏は、子供への攻撃は軍事政権に対する国際社会の対応が失敗したことを意味するとした。「各国は就学する機会を奪われたミャンマーの子どものために、より強力な協調行動を取る必要があります。クーデター指導者への圧力を強化し、軍の資金を枯渇させなければなりません...」

西側諸国はフライン(Min Aung Hlaing)司令官を含む軍高官や国営企業に制裁を科している。

EUは今年2月、軍の有力な収入源とされるミャンマー国営石油ガス公社(MOGE)を制裁対象に追加した。権利団体は米国にも追随するよう呼びかけている。

アンドリュース氏は、「国際社会はミャンマー人道対応計画2022の実施に必要な資金の10%しか約束しておらず、その結果、子どものための就学支援プログラムは棚上げせざるを得なかった」と指摘した。

「各国は、より強力な経済制裁と協調的な金融調査を追求し、必要に応じて企業や個人に制裁を科してください。私は国連加盟国にミャンマーに対する人道支援の劇的な増加と、国内外避難民に対する明確な支援を約束するよう求めます」

国連によると、抗議デモが本格的な紛争に発展した結果、ミャンマーの児童・学生約780万人が学校に通えなくなったと推定している。

また公衆衛生システムの崩壊により、数万人が予防接種や最低限の医療を受けられないでいると見積もっている。

2021年2月24日/ミャンマー、ヤンゴンで開催された抗議デモ(Getty Images/AFP通信/EPA通信)
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