◎恩赦の手続きは10月18日の午後から始まった。
2021年10月19日/ミャンマー、ヤンゴンのインセイン刑務所から釈放された市民(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

10月19日、ミャンマーの最大都市ヤンゴンにあるインセイン刑務所に収容されていた市民の一部が釈放された。

人々は軍事政権に反対する非武装の抗議デモに参加したことで逮捕され、一部は実刑判決を受けていた。

軍のミン・アウン・フライン司令官は18日のテレビ演説で、囚人5,600人以上に恩赦を与えると発表した。フライン司令官は、「10月20日の仏教の祝日に実刑判決を受けた1,316人と裁判を待っている4,320人を釈放する」と述べていた。

現地メディアによると、恩赦の手続きは18日の午後から始まったという。

一部の専門家は、ミャンマー軍は東南アジア諸国連合(ASEAN)の決定に焦っていると指摘した。ASEANは先日、10月26日から始まる首脳会談にフライン司令官を招待しないと発表していた。

ASEANとフライン司令官は今年4月の首脳会談で危機の解決に向けた取り組みを推進すると声明を発表したが、フライン司令官はASEAN特別使節とアウンサンスーチー氏を含む政府関係者との面会を拒否している。

特別使節に任命されたブルネイのエリワン・ユソフ第二外相はスーチー氏との面会を求めているが、ミャンマー軍はこの要求を却下した。スーチー氏は2月の軍事クーデター以来拘束されており、いくつかの罪で裁判にかけられている。

現地メディアによると、インセイン刑務所に収容されていた人々はバスで刑務所の外まで移送されたという。

刑務所の外で待機していた人々は身内や友人との再会に歓喜した。数カ月間収容されていたある男性はAP通信の取材に対し、「家族の苦しみを和らげることができる」と述べた。「私の家族を含む多くの人々が収容された抗議者の解放を待っていました...」

しかし、地元メディアによると、18日午後に中部のメイティーラ刑務所から釈放された38人のうち11人が刑務所の外で再逮捕されたという。

地元メディアの取材に応じた男性は、「再逮捕された人々は国民民主連盟(NLD)と野党の関係者だった」と述べた。この男性によると、当局はテロ対策法に基づき11人を再逮捕したという。

軍のテロ対策法は、あらゆる暴力行為とテロリストグループまたはテロ活動に参加する個人の勧誘、説得、宣伝、その他の行為を厳しく取り締まる。国際社会に唯一の合法的な政府と訴えた国民統一政府はテロリストグループに指定されている。

フライン司令官は仏教の祝日と恩赦を結び付け、軍事政権は平和と安定の回復を推進しているとアピールした。しかし、専門家たちは、「フライン司令官はASEAN首脳会談への出席を拒否されたことに焦り、ASEANとの関係を改善するために寛容さをアピールできる恩赦を利用した」と指摘した。

西側諸国は民主的な選挙で選出されたNLDの追放と、その後の致命的な弾圧を主導したフライン司令官を厳しく非難し、一部の国は制裁を科した。

国内の逮捕者などを追跡する政治犯支援協会(AAPP)によると、抗議デモに関連する取り締まりで約1,200人が殺害され、7,300人以上が逮捕、起訴、または有罪判決を受けたという。一部の民兵組織は現在、各地で軍と戦闘を繰り広げており、内戦の懸念が高まっている。

国連のミャンマー人権特別報告者であるトム・アンドリュース氏は釈放を歓迎したが、「ミン・アウン・フライン司令官は体制を維持するという考えを改めておらず、ASEANに寛容さをアピールするために人々を釈放した」と述べた。

現地メディアによると、ジャーナリスト、有名人、著名なSNSユーザーなども釈放されたが、スーチー氏を含む重要な政治犯に恩赦は与えられなかったという。

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