国連調査官、ミャンマー政府による民間人攻撃を非難「恐怖で服従させる狙い」中国・ロシアの武器供給で内戦長期化

カリー氏は、中国やロシアなどからの武器購入が軍事作戦を支え、内戦と深刻な人権危機を長期化させていると指摘。国際社会が政府との関係改善を進めるのであれば、暴力の抑制や政治犯の釈放など、具体的な対応を要求すべきだと訴えた。
2026年10月30日/ミャンマー、首都ネピドーの国会前(AP通信)

国連のミャンマー人権特別報告者であるケリー・カリー(Kelley Eckels Currie)氏は10月30日、ミャンマーの親軍政府が民間人を意図的に攻撃し、恐怖を与えて服従させようとしていると非難した。

カリー氏は、中国やロシアなどからの武器購入が軍事作戦を支え、内戦と深刻な人権危機を長期化させていると指摘。国際社会が政府との関係改善を進めるのであれば、暴力の抑制や政治犯の釈放など、具体的な対応を要求すべきだと訴えた。

ミャンマーでは2021年2月、国軍がアウンサンスーチー(Aung San Suu Kyi)氏率いる文民政権を転覆させ、クーデターによって権力を掌握した。これに対して全国で民主化を求める抗議活動が広がったが、軍は武力で弾圧。一部の市民が武装抵抗に転じ、反体制派と国軍の戦闘が国内各地に拡大した。現在も広範囲で内戦が続いている。

カリー氏によると、政府は兵力や装備で優位に立ち、航空戦力を利用した攻撃も繰り返している。しかし、強力な軍事力を投入しても反体制派を制圧できていない。カリー氏は中国やロシアから供給された航空機などが空爆に使用されており、軍事支援が紛争の継続を可能にしていると指摘した。

またカリー氏は、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国を含む周辺諸国が、政府との関係改善に動いていることにも懸念を示した。各国は政府との対話を進めるだけでなく、民間人への攻撃停止、スーチー氏を含む数千人に上る政治犯の解放、すべての関係者を含む和平協議の開始などを条件として求めるべきだと訴えた。

一方、カリー氏は、イスラム教少数民族ロヒンギャをめぐるジェノサイド(集団殺害)問題についても警告した。2017年の軍による弾圧をめぐり、国際司法裁判所(ICJ)はミャンマーがジェノサイド条約に違反したかどうかを審理している。カリー氏は判決を前に、ロヒンギャなど非仏教徒や少数民族に対する憎悪をあおってきた勢力が、インターネットや政治活動の場で再び活発化していると指摘。判決後に新たな暴力が発生する可能性があるとして、各国に監視を求めた。

さらに、政府の汚職と経済運営の失敗によって、合法的な経済活動が縮小する一方、違法経済(インフォーマル経済・地下経済・経済犯罪など)が拡大していると説明した。政府関係者による企業への不当な出資要求や農家への賄賂要求などが横行し、こうした資金が武器購入だけでなく、監視能力や国内統制機構の強化にも使われているという。

地元の人権団体によると、2021年のクーデター以降、拘束された人は3万2000人を超え、少なくとも1万5000人が現在も収監されている。カリー氏の指摘は軍事支援、経済的利権、周辺国の外交姿勢が複雑に絡み合い、ミャンマーの内戦と人権危機が解消されない構造を改めて浮き彫りにした。

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