コンテンプト・オブ・コート 7-27
倉庫の奥にある部屋は、窓がなく、天井の蛍光灯だけが室内を照らしていた。
カーターは椅子に縛りつけられていた。両手は背後で固定され、顔には殴られた跡が残っている。床には水の入ったバケツと、濡れたタオルが置かれていた。
ジョニーは少し離れた場所に立ち、部下の一人から報告を受けていた。
「何度聞いても同じです。銀行の件も、コール市長のことも、知らないの一点張りです」
ジョニーはカーターを見た。
「そんな話を信じろと?」
カーターは顔を上げなかった。口元には乾いた血がついている。呼吸は荒かったが、ジョニーの問いに答える気配はなかった。
「もう一度聞く。ハミルトン・ナショナル・バンクの情報を誰に渡した?」
「知らないと言っているだろう」
カーターの声はかすれていた。
「検察が動いたのは偶然だとでも言うのか?」
「俺に聞くな」
「お前が何かを隠しているのは分かっている」
ジョニーは椅子の前まで歩いた。カーターの顔をのぞき込む。
「資料を持っているはずだ。どこに隠した?」
カーターは答えなかった。
ジョニーは部下に目を向けた。
「目を離すな」
部下がうなずく。ジョニーは携帯電話を取り出し、コールに電話をかけた。
数回の呼び出し音の後、コールが出た。
『どうした?』
「カーターは何も話しません。銀行の件についても、知らないの一点張りです」
電話の向こうで、短い沈黙があった。
『やはり、あいつが検察に情報を流したと考えるべきだな』
「その可能性は高いと思います」
『カーターは俺の捜査資料を持っているはずだ。どんな手を使ってもいい。必ず聞き出せ』
「分かりました」
通話が切れた。
ジョニーは携帯電話をポケットにしまい、カーターの前に戻った。部下たちはバケツを移動させ、濡れたタオルを新しいものに取り替えていた。
「市長はお前に話してほしいそうだ」
カーターは顔を上げた。
「だったら、本人が来ればいい」
「口だけは達者だな」
ジョニーは部下に視線を向けた。
「次は水責めだ」
部下の一人がタオルを手に取った。もう一人がカーターの椅子を押さえる。
ジョニーはその様子を確認してから、部屋の出口へ向かった。
「話すまで続けろ」
「分かりました」
扉が閉まった。
室内には、バケツの水が揺れる音と、部下たちの足音だけが残った。
カーターは目を閉じた。コールに渡すつもりはない。自分が集めた資料のことも、誰に託したのかも話すつもりはなかった。
