◎ミン・アウン・フライン司令官は1時間にわたる演説の中で、自由かつ公正な複数政党制の選挙を行うと約束したが、民主的な選挙で選出された国民民主連盟(NLD)を「テロリスト」と呼んだ。
2021年6月22日/ロシア、首都モスクワの会議場、ミャンマー軍のミン・アウン・フライン司令官(Vadim Savitskiy/Russian/AP通信/ロシア国防省プレスサービス)

8月1日、ミャンマー軍のミン・アウン・フライン司令官は2月1日の軍事クーデターを擁護したうえで自分を首相に指名し、非常事態宣言は2023年8月まで延長される可能性があると語った。

ミン・アウン・フラインは1時間にわたる演説の中で、自由かつ公正な複数政党制の選挙を行うと約束したが、民主的な選挙で選出された国民民主連盟(NLD)を「テロリスト」と呼んだ。

軍は2月1日のクーデターで国家顧問のアウンサンスーチー氏を含むNLDの高官および関係者を拘束し、政権を掌握した。

軍事政権に反対する抗議デモの死亡者は900人を超えた。

ミン・アウン・フラインはテレビ演説の中で、「私たちは自由で公正な複数政党制の総選挙を実施するための条件を整えなければなりません」と述べた。「私たちは準備します。必ず複数政党制の総選挙を行うと誓います...」

また、非常事態宣言は総選挙を実施する2023年8月まで延長される可能性があると述べ、軍事政権を暫定政府と名付けたうえで首相に就任すると宣言した。軍は2月1日の軍事クーデター後に1年間の非常事態を宣言していた。

しかし、全国的な不服従デモは続いており、数万人の労働者がストライキを継続している。

ミン・アウン・フライン自称首相はミャンマーの治安と経済は安定していると主張したが、半年にわたるデモおよびストライキとコロナウイルスの感染拡大は国の経済と医療制度を崩壊させた。世界銀行は3月、ミャンマーの2021年の国内総生産(GDP)は前年比マイナス10%に落ち込む見通しと発表し、信用格付大手米フィッチ・レーティングスの子会社フィッチ・ソリューションズは7月に前年比マイナス20%と予想した。

ミン・アウン・フラインはNLDとその支持者を「テロ行為を選択した過激派」と呼んでおり、当事者たちが今後どのように扱われるかは不明。

アウンサンスーチー氏は2月1日に拘留されて以来、様々な刑事告発に直面している。

ミャンマーの人権活動家アウン・キャウ・モー氏は英BBCニュースの取材に対し、「総選挙の公約は嘘」と述べた。「総選挙は実施されません。そしてミャンマーの国民は軍の約束を信用していません」

ミン・アウン・フラインは4月のASEAN首脳会談でミャンマーに特使を派遣することに合意したが、軍と反対派の対話を仲介する試みは行き詰まっている。

ミャンマーではコロナウイルスの感染拡大により死亡者が急増し、医療用酸素の不足が混乱に拍車をかけている。軍事政権は酸素の一般販売を制限し、国民に買いだめを控えるよう呼びかけたが、混乱が収束する見通しは立っていない。さらに一部の地元メディアは、「軍は政府の支持者と軍が運営する病院に酸素を優先的に販売している」と報じた。

ミン・アウン・フラインは「ソーシャルメディアを介したフェイクニュースや誤った情報を信用してはならない」と述べ、フェイクニュースを流したメディアや人々がコロナウイルスを「バイオテロ」に利用していると非難した。

2021年2月20日/ミャンマー、最大都市ヤンゴンの抗議者たち(AP通信)
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