◎最有力候補に挙げられていたサディル・ジャパロフ氏が有効票の約80%を獲得した。
◎キルギスタンは昨年10月の議会選挙以来、混乱状態に陥っている。
2021年1月10日 EPA/キルギス共和国、首都ビシュケク、サディル・ジャパロフ氏

キルギスタンの現地メディアは、1月10日に実施された大統領選挙で、最有力候補に挙げられていたサディル・ジャパロフ氏が圧勝したと報じた。

報道によると、集計の大部分を終えた結果、ジャパロフ氏が有効票の約80%を獲得したという。

キルギスタンは昨年10月の議会選挙以来、混乱状態に陥っている。

野党グループの支持者は、議会選挙中に横行したとされる票の購入やその他の不正を糾弾し、選挙の結果を却下したうえで、政府庁舎を制圧した。

その後抗議者たちは、服役中だったジャパロフ氏を含む数人の野党指導者を解放した。

ジャパロフ氏はライバル政治家の誘拐に関与した罪で、2017年に禁固11年の有罪判決を受けていた。

昨年10月15日、ソーロンバイ・ジェーンベコフ大統領は、新首相に就任したジャパロフ氏の支持者に、「新首相を大統領代行に昇格させなければ政府庁舎を襲撃する」と脅され、辞任した。

ジャパロフ氏は勝利演説の中で、「汚職のない開かれた政府を作る」と誓約した。

サディル・ジャパロフ氏:
「前政権の過ちは繰り返さない。政府は汚職で私腹を肥やし、市民の期待を裏切り続けてきた。私は汚職を一切容認しない」

「この国の経済問題を3年から5年以内に是正すると約束する。まずは失業率を低下させる

近年、キルギスタンの失業率は急上昇しており、多くの若者が海外で就職することを余儀なくされている。

2021年1月8日 AP通信/キルギス共和国、首都ビシュケク

ジャパロフ氏は憲法改正の国民投票を行うよう要求したうえで、大統領により大きな権限を与える大統領制への移行を支持した

ジャパロフ氏は、「新憲法の制定で国の政治システムは生まれ変わる。市民の生活に寄り添った政府を樹立しなければならない」と述べた。

キルギスタンは旧ソビエト連邦から独立した最も貧しい国のひとつであり、富を独占する一部の政治家は国民の不安と怒りに何度も直面している。

ロシアはキルギスタンの混乱に懸念を表明していたが、新大統領を支持するかどうかについてはまだコメントを発表していない。

2020年10月5日 EPA/キルギス共和国、首都ビシュケク、政府庁舎のフェンスを乗り越える抗議者たち

キルギスタンについて知っておくべきこと

・カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、中国と国境を接する。

・ソビエト連邦の一部だった時は、キルギスソビエト社会主義共和国と呼ばれていた。

・1991年に独立を宣言、現在の名前(キルギス共和国/キルギスタン)を取得した。

・2005年、アスカル・アカエフ大統領を蜂起によって一掃。2010年にはクルマンベク・バキエフ大統領を追放した。

脅迫、暴力、買収に満ちた選挙を繰り返し、事あるごとに大統領が追放される

・国内にロシアの空軍基地がある。

・ロシアの経済支援に依存している。

2020年10月5日 AP通信/キルギス共和国、首都ビシュケク、選挙の開票結果に反対する抗議者たち
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