◎早朝のニューデリーは朝もやとスモッグに覆われ、ホラー映画のような雰囲気を醸し出している。
2021年11月5日/インド、スモッグに包まれるニューデリーの住宅街(Altaf Qadri/AP通信)

11月14日、インドの環境モニタリング機関SAFARは、首都ニューデリーの光化学スモッグ濃度が「非常に悪い」レベルに達したと発表した。

現地メディアによると、早朝のニューデリーは朝もやとスモッグに覆われ、ホラー映画のような雰囲気を醸し出しているという。

SAFARは声明の中で、ニューデリーの大気質指数は「非常に悪い」に上昇し、その他の地域でも大気中の粒子状物質レベルが世界の許容値の約6倍に達したと述べた。

アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、ニューデリーと北部地域の広い範囲が厚いスモッグともやに覆われているという。

ニューデリーの光化学スモッグ濃度は、近隣の州で毎年この時期に行われる焼き畑などの影響で悪化する。ニューデリーで生活する住民2,000万人以上はスモッグに慣れているが、一部の住民はソーシャルメディアに、「今年のスモッグ濃度はここ数年で最悪」と投稿した。

ニューデリー政府は13日、スモッグ濃度の急上昇を受け、市内の学校に1週間、建設現場に4日間の閉鎖を命じた。また、スモッグの原因のひとつである車両の排気ガスを抑えるために、民間企業にテレワークを強く推奨した。

ニューデリーのアルビンド・ケジワル首相は声明の中で、「市全体を封鎖する可能性がある」と述べた。封鎖するかどうかは連邦政府の判断に委ねられる。

インドのスモッグは主に森林火災、焼き畑、自動車の排気ガス、石炭火力発電所から排出される煙などで構成されている。

インドの電力需要は今後数十年で急速に上昇すると予想されており、その需要を満たすうえで欠かせないものが発電コストの安い石炭火力である。

インド政府は13日に閉幕したCOP26の中で、議長国が提案した「石炭火力の段階的な廃止」という文言を拒否し、文言は「石炭火力の段階的な削減」に書き換えられた。

ブペンダー・ヤダブ環境相は、「開発途上国と新興国は化石燃料を使う権利がある」と述べ、自分たちの都合で石炭火力の段階的な廃止を求めるEUと議長国のイギリスを批判した。

インドの物言いは気候変動の影響を強く受けている島国と環境活動家の怒りを引き起こしたが、中国や米国を含む石炭に依存する国は理解を示した。

インドのシンクタンク、科学環境センターのサムラット・センガプター氏は、「現時点で石炭の段階的廃止を達成することは技術的に不可能」と述べた。「インドが2050年までに石炭火力への依存度を減らすシナリオはありません...」

ナレンドラ・モディ首相は先週、2070年までに温室効果ガスの排出量正味ゼロを目指すと発表したが、石炭火力で生計を立てている企業と労働者は首を傾げた。

石炭販売業者のハリ・ラム氏は地元メディアの取材に対し、「先進国の都合で石炭をやめることはできない」と語った。「先進国は産業革命からずっと石炭を燃やし続けてきました。石炭火力をやめてほしいのであれば、それに見合う対価を開発途上国と新興国に提供しなさい。私たちは石炭で生計を立てています...」

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