マルコスJrは1986年まで独裁体制を敷いた故フェルディナンド・マルコスのひとり息子である。
2022年5月11日/フィリピン、首都マニラ近郊のマンダルヨン、マルコスJr次期大統領(Aaron Favila/AP通信)

米ホワイトハウスは11日、ジョー・バイデン(Joe Biden)大統領がフィリピンの大統領選を制したフェルディナンド・マルコス・ジュニア(Ferdinand Marcos Jr)に電話で祝意を示したと発表した。

マルコスJrは9日に行われた大統領選でライバルの現職副大統領レニ・ロブレド(Leni Robredo)氏に大差をつけ勝利した。

1986年までフィリピンを支配した独裁者の故フェルディナンド・マルコスのひとり息子であるマルコスJrは11日に勝利を宣言した。

フィリピンの米大使によると、バイデン大統領はマルコスJrに一緒に働くことを楽しみにしていると伝え、1951年の米比相互防衛条約に基づく両国の関係を再確認したという。

ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領の娘で副大統領候補のサラ・ドゥテルテ(Sara Duterte)氏の勝利も確実とみられる。

フィリピンの米大使によると、マルコスJrはバイデン大統領に米国との強固な関係を維持するよう努めると述べた。

またマルコスJrは6月30日の就任式にバイデン大統領を招待したが、バイデン大統領は参加できないかもしれないと伝え、代わりに米国代表団を派遣するとした。

マルコスJrの広報担当によると、次期大統領は支持者の前で勝利を宣言し、この勝利は民主主義を後押しすると述べた。また、新政権は選挙戦で鮮明になった分断を超えて共通の基盤を確立すると約束した。

広報担当はマルコスJrの声明を引用し、「世界に告ぐ。先祖で判断するのではなく、行動で判断してほしい」と呼びかけた。

独裁者のフェルディナンド・マルコスは敵対勢力に対する超法規的殺人(即決処刑)と拷問を推進し、軍の兵力を増強したが、1986年2月に行われた100万人規模の抗議デモ「ピープルパワー」に屈し、ハワイに逃亡した。

旧大統領官邸で1200足以上の靴を所有していたイメルダ夫人は息子の勝利を盛大に祝ったと伝えられている。

一部の専門家はマルコスJrが父親のような独裁体制を敷く可能性は低いとみる一方、米国との関係はドゥテルテ政権より複雑になる可能性が高いと指摘している。

マルコスjrは中国寄りの政策を取ると噂されているが、ドゥテルテ大統領は南シナ海の領有権をめぐる問題で中国と激しく対立しているため、簡単に態度を軟化させることはないと思われる。

現地メディアによると、マルコスJrは10日に父の墓を参り、感極まり涙したという。ドゥテルテ大統領は野党の批判を押し切り、マルコスの遺骨を国家英雄墓地に移すことを許可した。

大統領選に立候補した主要候補は敗北を認めているが、ロブレド副大統領はまだ認めていない。米国務省によると、投票と集計作業は国際基準に沿って行われ、大きな問題は確認されなかったという。

議会はまだ集計結果を確認していないが、政権を引き継ぐのはマルコスJrとサラ氏でほぼ確定した。二人はコロナ対策、格差問題、過激な思想を持つイスラム教徒と共産勢力の問題などに対処すると約束している。

南シナ海の領有権問題で対立する中国も二人の勝利を祝福した。

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