バングラデシュ中央銀行、49億ドルの景気刺激策を発表
支援策の柱となるのは、輸出向け製造業への資金供給である。
.jpg)
バングラデシュ中央銀行は23日、景気減速に対応するため、総額6000億タカ(約49億ドル、7782億円)の大規模な景気刺激策を発表した。輸出産業を中心に企業活動の停滞が深刻化する中、工場の再稼働や雇用創出を通じて経済成長を下支えする狙いがある。ロイター通信によると、同国でこれほど大規模な金融支援策が打ち出されるのは異例で、政府と中銀の危機感の強さを示している。
支援策の柱となるのは、輸出向け製造業への資金供給である。特に衣料品産業を最優先分野に位置づけ、資金繰りが悪化した工場の再開支援や設備投資を促進する。バングラは世界有数の衣料品輸出国であり、縫製業は輸出収入の8割以上を占める基幹産業だ。しかし、欧米市場での需要減速や原材料価格の高騰、中東情勢の悪化による物流コスト上昇などが重なり、多くの工場が生産縮小や操業停止に追い込まれていた。
今回の支援策では、4100億タカを国内銀行から調達する。中銀は余剰資金を持つ金融機関から3年以上の長期預金として資金を集め、年利10%で運用する方針だ。さらに1900億タカは中銀自身の資金を活用し、政府保証を付けることで金融機関の貸し出しリスクを軽減する。このうち2000億タカは、閉鎖中や経営難に陥った工場の再稼働支援に充てられる。また、1000億タカは農業や地方経済の活性化に振り向けられ、食料生産の維持や農村雇用の確保を図る。中銀はこれにより約25万人分の雇用創出効果を見込んでいる。
背景には、同国経済の減速がある。統計局によると、2025~26年度第2四半期の経済成長率は3%に低下し、前年同期の3.5%を下回った。インフレや高金利によって企業の借入負担が増し、民間投資も伸び悩んでいる。輸出依存型経済である同国は、世界景気の鈍化や地政学的リスクの影響を受けやすく、特に中東情勢の緊迫化によるエネルギー価格上昇が経済全体を圧迫している。
もっとも、市場では今回の措置だけで景気回復が実現するかについて慎重な見方もある。財政赤字やインフレ圧力が残る中で、大規模な資金供給が通貨タカの下落や物価上昇を招く可能性も指摘されている。一方で、輸出産業の立て直しに成功すれば、外貨収入の回復や雇用安定につながるとの期待も強い。バングラ政府は2026年に予定される後発開発途上国(LDC)卒業を控え、経済基盤の安定化を急いでおり、今回の景気刺激策はその試金石となりそうだ。
