オーストラリアで初の鳥インフル、野鳥の死骸から検出、政府が防疫強化
感染が確認されたのはサウス・オーストラリア州南東部の国立公園の海岸で発見された海鳥の死骸で、検査の結果、H5N1への感染が確認された。
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オーストラリア政府は20日、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が同国本土で初めて確認されたことを受け、感染拡大を防ぐための措置を強化する方針を明らかにした。アルバニージー(Anthony Albanese)首相は声明で、「鳥インフルの拡散を抑え込むためにあらゆる措置を講じる」と述べ、連邦政府と州政府が連携して対応に当たる考えを示した。
感染が確認されたのはサウス・オーストラリア州南東部の国立公園の海岸で発見された海鳥の死骸で、検査の結果、H5N1への感染が確認された。当局は別の海鳥にも感染の疑いがあることから追加検査を進めている。
H5N1は近年、世界各地で野鳥や家禽の間に広がり、数千万羽の鳥類を死に至らしめてきた。さらに哺乳類への感染例も相次ぎ、国際社会では生態系や畜産業への影響が懸念されている。オーストラリアはこれまで本土での感染確認がなく、事実上最後の「未侵入地域」とされてきたが、今回の確認によって状況は大きく変化した。
コリンズ(Julie Collins)農業相は記者団に対し、現時点で養鶏場や商業的な家禽生産施設での感染は確認されていないと説明した。そのうえで、農場での防疫措置を一段と強化し、野鳥の監視体制を拡充するとともに、感染が疑われる動物の迅速な検査を進める方針を示した。政府はこの数年、ウイルスの流入を想定して農場の衛生管理強化や監視プログラム、緊急対応訓練などを実施してきた。今回の事態はそうした備えが実際に試される局面となる。
専門家の間では、ウイルスが野鳥の集団に定着した場合、希少種を含むオーストラリア固有の生物に深刻な被害を及ぼす可能性が指摘されている。海鳥や猛禽類に加え、アシカやオットセイなど海洋哺乳類への感染拡大も懸念されている。過去には亜南極地域のハード島周辺でH5N1による野生動物の大量死が確認されており、本土への侵入は生態系保全上の大きな課題となる。
一方、当局は一般市民への健康リスクは現時点で低いとの見方を示している。ただし、病気や死んだ鳥を発見した場合には接触を避け、当局へ通報するよう呼びかけている。政府は今後も監視と検査を継続し、感染経路や周辺地域への拡散状況を詳しく調べる方針だ。
今回のH5N1確認は、長年にわたり厳格な検疫体制を維持してきたオーストラリアにとって重大な転機となる。世界的な鳥インフル流行が続く中、同国の防疫体制と危機対応能力が問われることになりそうだ。
