ベトナム共産党、反体制派に対する取り締まり強化、人権団体が警告
報告書は2024年から共産党書記長を務め、2026年に国家主席にも就任したトー・ラム指導部の下で、刑法が反対意見を封じ込める手段として日常的に利用されていると指摘した
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ベトナムで共産党に批判的な活動家や反体制派に対する弾圧が強まっている。非営利団体88プロジェクトは29日に公表した報告書で、当局が曖昧な法律を利用して反体制派の取り締まりを強化していると警告した。同団体によると、2025年に確認された政治的動機による逮捕者は56人に上り、3年連続で増加したほか、2022年の2倍に達した。報告書は氏名や事件内容を確認できた事例のみ集計しており、実際の逮捕者数はさらに多い可能性が高いとしている。
報告書は2024年から共産党書記長を務め、2026年に国家主席にも就任したトー・ラム(To Lam)指導部の下で、刑法が反対意見を封じ込める手段として日常的に利用されていると指摘した。特に、当局は「民主的自由の乱用」によって国家利益を侵害した場合に7年以下の禁錮刑を科すことができる刑法331条の適用を拡大しているという。
この条文は従来より幅広い対象に適用されるようになり、人権活動家だけでなく、地方行政への不満や汚職、土地収用、宗教の自由などについて平和的に意見を表明した市民も摘発の対象になっていると分析している。
88プロジェクトの共同代表であるスワントン(Ben Swanton)氏は報告書の中で、「現在のベトナムは反対意見を一切容認しない警察国家になった」と述べ、2010年代に見られた市民社会の一定の活動余地が大きく後退したと批判した。また、共産党が「カラー革命」と呼ばれる民主化運動への警戒を強め、2004年のウクライナのオレンジ革命や1986年のフィリピンの民衆運動のような政権転換を未然に防ぐことが、一連の弾圧強化の背景にあると指摘した。報告書は、中国も同様の懸念を共有し、両国が政治的安定の維持に向けて協力を深めていることにも言及している。
報告書では、2025年に摘発された具体例として、ユーチューブで共産党を批判する内容の動画を配信した3人の運営者、タイで拘束された後にベトナムへ送還された少数民族の活動家、共産党を批判した罪で拘束された作家、高速道路建設に伴う土地収用の補償を住民とともに求めた男性らを挙げている。いずれも暴力行為ではなく、言論や請願など平和的な活動が刑事事件として扱われたケースだとして懸念を示した。
一方、ベトナム外務省は報告書の内容についてコメントしていない。88プロジェクトは活動家だけでなく一般市民に対する取り締まりも強まっていると指摘しており、経済成長を続ける一方で政治的自由や表現の自由を巡る国際社会の懸念は今後も高まりそうだ。
