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ブラジル農業、肥料価格の高騰で米国との競争優位性薄れる

ブラジルは過去20年にわたり農地面積を大幅に拡大し、大豆やトウモロコシなどの主要農産物で世界市場における存在感を高めてきた。
ブラジルの国旗(ロイター通信)

世界有数の農業大国であるブラジルが肥料価格の急騰という新たな課題に直面している。これまで安価で広大な農地を武器に米国との競争で優位に立ってきたブラジル農家だが、中東情勢の悪化に伴う肥料コスト上昇によって収益性が圧迫され、その優位性が揺らぎ始めている。専門家の間では、ブラジル農業の急成長が一時的に停滞する可能性も指摘されている。

ブラジルは過去20年にわたり農地面積を大幅に拡大し、大豆やトウモロコシなどの主要農産物で世界市場における存在感を高めてきた。特に米中貿易摩擦以降、中国が米国産農産物への依存を減らし、ブラジル産への輸入を増やしたことが成長を後押しした。広大で比較的安価な土地を活用した大規模経営により、生産コストを抑えながら輸出を拡大してきた経緯がある。

しかし、その成長モデルは大量の肥料投入を前提としている。新たに開発された農地の多くは土壌の肥沃度が低く、高い収量を維持するためには継続的な肥料使用が不可欠である。ところが現在、米イラン戦争の影響で中東地域の物流が混乱し、世界の肥料供給網に大きな影響が及んでいる。特に世界の肥料輸送量の約3分の1が通過するホルムズ海峡が供給上のボトルネックとなり、国際価格が急騰している。

米国の農家も肥料価格上昇の影響を受けているが、多くは国産肥料を利用できるうえ、春の作付け前に必要量を確保していたケースが多い。一方のブラジルは肥料の大部分を輸入に依存しているため、今後始まる主要作物の播種シーズンを前にコスト負担が急増している。農家の中には投資計画を見直したり、農地拡張を延期したりする動きも出始めている。

さらに世界的な穀物供給の増加によって大豆価格などが低迷し、農家の利益率は一段と圧迫されている。借入金を抱える生産者も多く、肥料価格高騰と農産物価格低迷の二重苦に直面している状況だ。米国のように農業補助制度が十分でないブラジルでは、経営環境の悪化がより深刻な問題となりかねない。

ブラジル政府は肥料自給率向上を目指し、国営ブラジル石油公社(ペトロブラス)による国内生産拡大を進めている。しかし、生産能力の増強には時間を要するため、短期的な価格高騰への対応は容易ではない。農業関係者の間では、肥料市場が安定するまでブラジル農業の成長ペースは鈍化するとの見方が広がっている。世界最大級の農産物輸出国としての地位は維持できる見通しだが、これまで続いてきた急速な拡大局面には一旦ブレーキがかかる可能性が高まっている。

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