ボリビア反政府デモ激化、大統領が非常事態令を容易にする法律に署名
ボリビアでは5月初旬から全国規模の抗議デモが続いている。
.jpg)
南米ボリビアで続く反政府デモが新たな局面を迎えている。パス(Rodrigo Paz)大統領が非常事態宣言の発令を容易にする新法に署名したことを受け、各地で抗議デモが激化し、警察との衝突が相次いだ。コチャバンバ県ではデモ参加者が爆竹や石、棒などを投げて警察部隊に抵抗、警察は催涙ガスで応戦した。複数の都市で逮捕者が出るなど、緊張が一段と高まっている。
ボリビアでは5月初旬から全国規模の抗議デモが続いている。労働組合や農民団体、先住民組織などが中心となり、政府の経済政策に反発して約90カ所に及ぶ道路封鎖を実施している。抗議の主な理由はパス政権が燃料補助金を廃止したことによる生活費の上昇と、インフレや低賃金など慢性的な経済問題を改善できていないことへの不満である。多くの市民は昨年の選挙で支持したにもかかわらず、パス政権が期待に応えていないと感じている。
今回の抗議デモによって国内物流は深刻な打撃を受けている。首都ラパスと周辺地域の主要道路が遮断され、食料品や燃料、医薬品の供給不足が発生している。政府はこれまで対話による解決を模索してきたが、抗議団体の多くは交渉を拒否し、パス氏の辞任を要求している。パス氏は昨年の選挙で勝利し、約20年にわたって続いた左派・社会主義運動(MAS)の長期政権を終わらせたが、就任からわずか7カ月で厳しい現実に直面している。
こうした状況の中、パス氏は8日、非常事態宣言に関する法的枠組みを整備する新法に署名した。この法律により、政府は治安悪化時に軍を投入し、道路封鎖の解除や秩序回復を進めやすくなる。ただし、実際に非常事態を発令するには別途大統領令が必要である。パス氏は演説で「暴動を扇動しているのは麻薬犯罪や過激派勢力だ」と主張し、新法は大多数の国民を守るための措置だと説明した。
しかし、野党や人権団体は新法に強い懸念を示している。ボリビアでは過去にも軍や警察による強硬なデモ鎮圧が政治危機を招いた経緯があり、軍の介入拡大がさらなる流血を招くとの懸念が根強い。実際、今回の抗議運動では5月以降に少なくとも10人が死亡、37人が負傷、365人が拘束されたと報告されている。政府は死者の一部について医療不足が原因だとしているが、すべての事案を調査中としている。
経済危機と政治不信が絡み合う中、パス政権が対話路線を維持するのか、それとも非常事態宣言による強硬策に踏み切るのかが焦点となっている。
