◎ボルソナロ大統領はアマゾンの開発を推進している。
2022年3月9日/ブラジル、首都ブラジリアで開催された環境保護集会(Getty-Images/AFP通信/EPA通信)

ブラジルの法務省は16日、アマゾンの開発を推進しているジャイール・ボルソナロ大統領に「先住民族功労賞」を授与した。

トーレス法務相はボルソナロ大統領と他の25人にメダルを授与し、官報に掲載された政令で、「先住民族のコミュニティの幸福、保護、防衛を推進する見返りを求めない行動は評価に値する」と受賞者を称えた。

トーレス法務省は自身、農業大臣、インフラ大臣、国防大臣などにも直接メダルを授与した。

先住民族の指導者はメダル授与を「茶番」「ばかげている」などと呼び、厳しく非難した。

ブラジル先住民族協会(APIB)の報道官は16日、ソーシャルメディアに「不条理」と投稿した。「APIBはこのふざけた政令を覆すための裁判を起こします。野蛮な非政府は先住民族を愚弄しています...」

ボルソナロ大統領の政策に反対する野党のアレッサンドロ・モロン下院議員は16日の声明で、「議会に政令の取り消しを求める動議を提出した」と明らかにした。「先住民族の土地での採掘を合法化し、迫害され虐げられてきた先住民族の存在そのものを危険にさらそうとしている政府は、自らのあらゆる悪事を評価しました...」

ボルソナロ大統領はアマゾンの環境保護予算と、政府の先住民保護機関フナイの予算を削減した。また、雇用の創出と貧困対策の一環として、アマゾンでの採掘と商業農業を推進すると宣言している。

今回政府関係者が受賞した先住民族功労賞は著名な人類学者、環境保護活動を行っている団体、先住民族の首長などが受賞してきた。

今月初めにブラジリアで開催された環境保護集会には数千人が参加し、アマゾンの環境破壊と先住民族の土地での採掘を許可する法案に抗議した。

集会に参加したサンパウロ大学の教授はアルジャジーラの取材に対し、「状況は危機的であり、ボルソナロはブラジルに残された数少ない自然を破壊しようとしている」と述べ、政府を厳しく非難した。

議会下院は憲法で保護されている先住民族の土地でのカリ鉱山、石油探査、水力発電ダム開発を認める複数の法案の審議をまもなく開始する予定である。

法案は採掘や探査に必要な事前の環境調査などを簡略化し、農作物の栽培に欠かせないカリや除草剤の使用許可範囲・種類も合わせて拡大する。

政府はロシア・ウクライナ戦争の影響で穀物や肥料貿易に影響が出ることを考慮し、法案の早期成立を求めている。ブラジルは世界最大のカリ輸入国であり、農作物栽培の過程で多くの肥料を使っている。ブラジルが輸入している肥料の約4分の1はロシア産である。

しかし、下院の一部議員は選挙の年に有権者を怒らせるべきではないという懸念から、採決を急ぐことに同意しなかった。アルツロ・リラ下院議長は法案を審議するためのワーキンググループを設置し、30日以内に結果を報告するよう求めている。

2021年6月12日/ブラジル、サンパウロで開催されたオートバイ愛好家のイベント、ジャイール・ボルソナロ大統領(AP通信/Marcelo Chello)
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