ブラジル、WTO紛争解決手続きに基づく協議を米国に要請
米国は一部のブラジル製品に対し、不公正な貿易慣行を理由として25%の追加関税を課したほか、強制労働対策が不十分であるとの判断から、ブラジルを含む複数国に最大12.5%の追加関税を適用した。
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ブラジル政府は27日、米国がブラジル製品に課した追加関税について、世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きに基づく正式な協議を米国に要請した。協議要請はWTOにおける紛争解決の第一段階であり、両国が一定期間内に合意に至らなければ、ブラジルはWTOに紛争処理パネルの設置を求めることが可能となる。
問題となっているのは、トランプ政権が導入した対ブラジル関税である。米国は一部のブラジル製品に対し、不公正な貿易慣行を理由として25%の追加関税を課したほか、強制労働対策が不十分であるとの判断から、ブラジルを含む複数国に最大12.5%の追加関税を適用した。これにより、一部のブラジル製品では合計37.5%の関税負担となっている。
ブラジル外務省はこれらの措置について、「正当性を欠き、米国がWTO協定の下で負う義務に反する」と強く反発した。具体的には、1994年の関税及び貿易に関する一般協定(GATT)やWTO紛争解決了解(DSU)に違反する可能性があると主張しており、多国間貿易体制に基づくルールによる解決を求めている。
今回の協議要請は、ブラジルのルラ政権が外交的・法的手段によって対抗姿勢を強めたことを意味する。一方で、ブラジル政府は全面的な報復関税には慎重な姿勢を維持し、まずは国際ルールに基づく解決を優先する構えを示している。ドゥリガン(Dario Durigan)財務相も米国との対話継続に期待を示し、今後開催されるG20財務相会合などで協議を進める考えを明らかにしている。
一方、米側は今回の関税措置について、自国産業や労働者を保護するために必要な政策であるとの立場を崩していない。米通商代表部(USTR)のグリア(Jamieson Greer)代表は、新たな関税措置が米国経済全体に与える影響は限定的との認識を示しており、政策の正当性を主張している。
ブラジルにとって米国は重要な輸出市場であり、今回の関税は工業製品や製造業を中心に幅広い産業に影響を及ぼす可能性がある。一方で、両国の対立は二国間問題にとどまらず、保護主義の拡大とWTO体制の実効性を巡る試金石ともなっている。協議が不調に終われば、正式なWTO紛争に発展する可能性が高く、世界の通商秩序にも少なからぬ影響を与えることになりそうだ。
