ボリビア反政府デモ、大統領が非常事態宣言、道路封鎖解除へ
ボリビアでは5月以降、政府の緊縮財政政策に反発する労働組合や農民団体、先住民組織などによる抗議活動が全国に拡大した。
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南米ボリビアのパス(Rodrigo Paz)大統領は20日、全国各地で続く暴動や道路封鎖によって燃料や食料の供給が深刻な打撃を受けているとして、90日間の非常事態を宣言した。非常事態令により軍は警察と協力して主要道路の封鎖解除や治安維持活動にあたる権限を与えられる。政府は市民生活の正常化が目的であり、憲法上の基本的人権や適正手続きは制限しないとしている。
ボリビアでは5月以降、政府の緊縮財政政策に反発する労働組合や農民団体、先住民組織などによる抗議活動が全国に拡大した。最大の争点となっているのは長年続いてきた左派政権により燃料補助金の廃止である。パス政権は慢性的な財政赤字や外貨不足を解消するため補助金削減に踏み切ったが、物価上昇や生活費負担の増大を招き、各地で反政府デモが激化した。
抗議参加者は主要幹線道路にバリケードを築き、物流網を遮断した。首都ラパスでは燃料供給が滞り、ガソリンスタンドに長蛇の列ができたほか、スーパーマーケットでは商品不足が発生した。病院では酸素や医療物資が不足し、患者搬送にも支障が出ている。政府によると、交通網の寸断によって適切な医療を受けられず亡くなった人もおり、これまでに少なくとも17人が死亡したとされる。暴動や治安部隊との衝突により37人が負傷し、360人以上が拘束された。
パス氏はテレビ演説で「これは人々の自由を制限するための非常事態ではなく、市民に自由を取り戻すための措置だ」と強調した。政府は燃料輸送車両の通行確保や物流機能の回復を急いでおり、軍部隊の展開を開始している。非常事態は情勢が改善すれば90日を待たず解除される可能性もあるという。
一方で抗議運動は依然として収束していない。政府は一部労働組合との間で封鎖解除に向けた合意を結んだものの、農村部の先住民団体やモラレス(Evo Morales、指名手配中)元大統領を支持する勢力は交渉への参加を拒否し、パス氏の辞任や総選挙の実施を求めている。政府はモラレス氏が政情不安をあおっていると非難するが、同氏は関与を否定している。
パス氏は2025年の大統領選で勝利し、約20年間続いた左派政権に終止符を打った。しかし、経済改革は議会で停滞し、インフレや生活費高騰への不満も強まっている。今回の非常事態宣言は供給網の回復を目指す緊急措置だが、政治的対立そのものを解決する見通しは立っていない。情勢の安定化にはなお時間を要するとみられている。
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