SHARE:

ボリビア反政府デモ、右派政権崩壊の危機、道路封鎖続く

経済危機と政治対立が絡み合うボリビアは、民主化以降でも屈指の難局に直面しており、パス政権がこの試練を乗り越えられるかが国内外の注目を集めている。
ボリビアのエボ・モラレス元大統領(Getty Images/AFP通信)

南米ボリビアで続く大規模な道路封鎖と反政府デモが、発足から半年余りのパス政権を揺さぶっている。燃料不足や物価高騰に対する不満を背景に、労働組合や先住民団体による抗議デモは50日間にわたって続き、少なくとも14人が死亡した。首都ラパスでは食料や医療物資の供給が滞り、経済活動も深刻な打撃を受けている。

こうした混乱の中で存在感を増しているのが左派・社会主義運動(MAS)のモラレス(Evo Morales)元大統領である。同氏は現在、コチャバンバ県チャパレの拠点に身を潜めながら情勢を注視しているとされる。政府は一連の抗議デモの背後にモラレス派がいると主張しているが、同氏は関与を否定し、経済政策への国民の不満が抗議の本質だと反論している。

パス氏は2025年の政権交代で約20年続いた左派政権に終止符を打ち、市場重視の改革と財政再建を掲げて就任した。しかし、燃料補助金の縮小や緊縮策が生活費の上昇を招き、国民の反発を強めた。インフレ率は20%を超え、燃料や食品の不足も深刻化している。抗議活動による経済損失は数十億ドル規模に達したとの試算もある。

トランプ米政権はパス政権を強く支持している。米国務省は一連の騒乱を「クーデター」と表現し、民主的に選出された政権を不安定化させる動きだと非難。食料や医療物資の不足に対応するため、緊急支援を拡大する方針を示している。

一方で、抗議活動の長期化により政権基盤は弱体化している。閣僚の辞任が相次ぎ、野党や一部市民団体からは大統領辞任を求める声も上がる。パス氏は対話による解決を訴えるが、政治的混乱の収束は見通せない。

モラレス氏は依然として農村部や労働組合の一部に強い影響力を持つ。抗議活動がさらに拡大し政権の求心力が低下すれば、同氏やその支持勢力が再び政治の表舞台に浮上する可能性もある。経済危機と政治対立が絡み合うボリビアは、民主化以降でも屈指の難局に直面しており、パス政権がこの試練を乗り越えられるかが国内外の注目を集めている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします