リビア沖で移民船転覆、11人死亡、40人行方不明
事故はリビア東部沖の地中海で6月12日に発生した。
.jpg)
アフリカ北部・リビア沖で欧州を目指す移民を乗せた船が転覆し、51人が死亡または行方不明となっている。移民の動向を監視する人権団体が19日に明らかにしたもので、地中海を渡る危険な移民ルートの実態が改めて浮き彫りとなった。
事故はリビア東部沖の地中海で6月12日に発生した。この地域で移民の移動状況を追跡している人権団体によると、ギリシャもしくはイタリアを目指していた船が航行中に転覆し、乗船者のうち10人が救助された。一方で11人の遺体が収容され、さらに40人が行方不明となっている。団体は行方不明者の多くが死亡した可能性が高いとみている。
リビア東部トブルクではこの数日間で海岸に遺体が漂着し始めており、沿岸警備隊や赤新月社が収容作業を続けている。沿岸警備隊は救助隊員が白い遺体袋を運ぶ映像も公開し、被害の深刻さを示した。
地中海中部ルートはアフリカや中東から欧州を目指す移民や難民にとって主要な経路の一つである。特にリビア沿岸は出発地点として利用されることが多い。しかし、密航業者は利益を優先し、ボロボロの小型船やゴムボートに定員を超える人数を乗せて出航させるケースが後を絶たない。その結果、転覆や遭難による犠牲者が毎年多数発生している。
国連の専門機関である国際移住機関(IOM)によると、今年1月から5月中旬までの間に地中海中部ルートで死亡または行方不明となった移民は800人を超えた。2025年には1300人以上が命を落とし、この航路は世界で最も危険な移民ルートの一つとなっている。2026年に入ってからも大規模な遭難事故が相次ぎ、人道危機への懸念が強まっている。
リビアは2011年の政変以降、政治的混乱が続いている。治安の不安定化に伴い、人身売買組織や密航業者が国内で勢力を拡大し、周辺国から流入した移民を欧州へ送り出している。国連の調査では、海上で拘束されリビアへ送還された移民が収容施設で強制労働や暴行、性的虐待などの人権侵害を受けている。
今回の事故は、貧困や紛争から逃れようとする人々が命懸けで海を渡る現状を改めて示した。欧州への希望を抱いて出航した多くの移民が海上で消息を絶つ現実に対し、国際社会には移民問題への包括的な対応が求められている。
