認知症リスクを下げるのに血液検査は必要ない、専門家が勧める「中年期からの対策」
米国では、認知機能の低下や記憶障害などがある患者について、アルツハイマー病が原因なのかを判断する補助として、食品医薬品局(FDA)が4種類の血液検査を認めている。
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アルツハイマー病の発症リスクを早い段階で知りたいという人の間で、血液検査への関心が高まっている。血液中のたんぱく質を調べることで、症状が現れる前からアルツハイマー病に関連する変化を捉えられる可能性があるためだ。しかし、現時点では症状のない人が将来の発症リスクを知る目的で検査を受けることについて、専門家は慎重な姿勢を示している。
米国では、認知機能の低下や記憶障害などがある患者について、アルツハイマー病が原因なのかを判断する補助として、食品医薬品局(FDA)が4種類の血液検査を認めている。検査によってアルツハイマー病の特徴であるアミロイドやタウなどの異常を調べることができ、診断を早めることで、症状の進行を緩やかにする薬の対象となる患者を見つけやすくなる。
一方、症状のない人については事情が異なる。血液中の「p-tau217」と呼ばれるタウたんぱく質の一種は、脳内のアミロイド蓄積を反映する指標として有望視されている。実際、認知機能が正常な高齢者を対象にした研究では、p-tau217の値が非常に高い人ほど、その後に認知機能の低下が起こる可能性が高かった。だが、陽性という結果が出ても、それだけで将来アルツハイマー病を発症することを意味するわけではない。偽陽性もあり、専門家は研究目的以外で健康な人が安易に検査を受けることを勧めていない。
では、発症リスクを下げるために何をすべきなのか。現段階で重視されているのは、血液検査よりも日常生活と健康管理である。
特に重要なのが中年期からの高血圧、糖尿病、喫煙への対策だ。ニューヨーク大学などの研究では、50代の時点で高血圧、2型糖尿病、喫煙の三つを避けていた人は、これらを抱えていた人と比べ、認知症を発症せずに過ごせる期間が約13年長かった。高血圧や糖尿病は脳へ血液を送る血管に負担をかけ、炎症などを通じて認知機能に影響する可能性がある。遺伝的にアルツハイマー病のリスクが高い人でも、健康的な生活習慣による利益は期待できるとされる。
運動も重要だ。専門家は週に複数回の中強度の運動や筋力トレーニングを推奨している。食事では、葉物野菜、ベリー類、全粒穀物、魚などを重視するMIND食が研究対象となっているほか、十分な睡眠、社会的なつながり、聴力低下への対応、知的活動も脳の健康維持につながるとされる。
2024年に発表されたランセット(The Lancet)委員会の報告でも、難聴、高血圧、喫煙、運動不足、糖尿病、社会的孤立などに加え、高コレステロールや未治療の視力低下を含む14の修正可能なリスク因子が示され、これらへの対策によって認知症の一部は予防または発症を遅らせる可能性があるとされた。
アルツハイマー病の血液検査は、今後さらに重要な役割を担う可能性がある。すでに発症後の診断を補助する技術として進歩しており、症状が出る前の段階で治療を始めることで効果を得られるのかを調べる臨床試験も進んでいる。
ただし現時点で、健康な人が検査結果だけを頼りに将来を判断することはできない。認知症対策で最も現実的なのは、検査結果を待つことではなく、血圧や血糖、コレステロールを管理し、運動し、喫煙を避け、社会とのつながりを保つことだ。
