ケニアの大自然に電動モビリティ、マサイマラで進む「静かな」エネルギー転換
電動モビリティが都市だけでなく、アフリカの野生動物保護区や地域社会にも入り始めたことは、エネルギー転換の広がりを示す動きといえる。
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アフリカの大自然を舞台に、電動モビリティの導入が進んでいる。ケニアのマサイマラ国立保護区では、野生動物の保護活動に電動バイクや太陽光で充電する電気自動車を活用する取り組みが広がっている。都市部の脱炭素化とは異なり、電動化の効果が野生動物や観光、密猟対策にも及ぶ点が特徴だ。
マサイマラでレンジャーを務めるジョシュア・キジャペ(Joshua Kijape)さんは過去1年間、電動バイクで広大な草原を巡回している。エンジン音や排気ガスがほとんどないため、動物に気付かれずに接近できるほか、密猟者を追跡する際にも相手に存在を察知されにくいという。年間を通じて多くの観光客や動物が集まり、ヌーの大移動でも知られる地域だけに、騒音を減らす効果は大きい。
導入を進める企業の一つが、ナイロビを拠点とする電動バイクメーカーのROAMだ。同社のバイクは1回の充電で約160キロ走行でき、通常の電源コンセントにも接続できる。長距離の巡回には充電設備が必要になるが、太陽光パネルと蓄電池を組み合わせれば、送電網から離れた保護区でも充電拠点を設置できる。
電動化の利点は環境負荷だけではない。これまでガソリンを遠隔地まで運んでいた保護区では、燃料輸送そのものが負担となる。現地で太陽光から電力を作れば、燃料費や輸送費を抑えながら車両を運用できる可能性がある。マサイマラのエンブー・リバー・キャンプでは2019年から電動サファリ車を導入しており、太陽光だけで充電する仕組みを整えている。
一方、課題も残る。長時間の巡回には充電インフラが欠かせず、悪路や遠隔地で電動車両を安定運用できるかも重要になる。それでも、電動モビリティが都市だけでなく、アフリカの野生動物保護区や地域社会にも入り始めたことは、エネルギー転換の広がりを示す動きといえる。
