USPS、郵便投票の新たな規則公表、中間選挙を前に法廷闘争続く
USPSは規則に従わない州については郵便投票の配達を行わないとしている。

米国郵政公社(USPS)が郵便投票を巡る新たな規則を公表した。新制度では、各州が郵便投票を利用する有権者について、氏名や自宅住所などの基本情報を収集し、郵送される各投票用紙に固有のバーコードを付けることが求められる。州の選挙当局はこうした情報をUSPSの「連邦投票郵便ポータル」に入力する必要がある。
USPSは規則に従わない州については郵便投票の配達を行わないとしている。一方、この規則は現時点では連邦裁判所による差し止め命令の対象となっており、裁判所が差し止めを解除しない限り発効しない。USPSは解除されれば直ちに変更を実施する方針を示している。正式な規則は8月26日に公表される予定で、11月の中間選挙を控え、実際に適用されるかが焦点となっている。
今回の措置は、トランプ政権が進めてきた郵便投票の厳格化と連動したものだ。トランプ(Donald Trump)大統領は3月、郵便投票に関する本人確認や投票用紙の統一などを求める大統領令に署名。USPSの新規則はその一部を具体化する形となっている。ただし、今回の規則は郵便投票そのものを禁止するものではなく、軍人や障害、病気、旅行などを理由とした例外を廃止する内容でもない。
USPSはポータルに生年月日や社会保障番号、その他の有権者登録情報を入力することはなく、投票資格の判定や有権者名簿の管理、投票用紙の集計にも関与しないと説明している。狙いは郵便投票の追跡や本人情報の確認を容易にし、選挙関連郵便の正確性を高めることにある。
しかし、批判も強い。選挙は伝統的に州政府が中心となって運営してきたため、有権者情報を連邦レベルに集約することは、州の選挙権限を侵害する可能性があるとの懸念が出ている。さらに、選挙直前に新たな手続きを導入すれば、州の選挙管理当局や有権者に混乱をもたらし、郵便投票を利用しにくくする可能性も指摘される。
今回の問題の本質は、単なる郵便制度の変更ではない。中間選挙を前に、選挙の安全性を高めるための本人確認と、州が持つ選挙管理権限、さらに有権者が投票しやすい環境をどう両立させるかという、米国の民主制度そのものに関わる問題となっている。
今後は裁判所が差し止めをどう判断するかが、規則の実施だけでなく、中間選挙における郵便投票の運用にも大きな影響を与えることになる。
