トランプ氏、ロシア産軽油受け入れへ、中間選挙控え対露制裁を一部緩和
専門家からは、製油所の損傷や輸出制限を踏まえると、ロシアが約束した量を実際に供給できるか疑問視する声も出ている。
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トランプ(Donald Trump)米大統領は9日、ロシアのプーチン(Vladimir Putin)大統領との電話会談で、ロシア産軽油を米国および世界市場に供給することで合意したと発表した。燃料価格の高騰が続く中、11月の中間選挙を前に国内の物価対策を優先する姿勢を鮮明にした。一方、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの圧力を弱める政策転換として、国際的な反発も予想される。
トランプ氏によると、ロシアは直ちに30万トン超の軽油を供給し、11月に50万トン、その後さらに100万トンを追加する。さらに、製油所の状況に応じて300万トンを短期間で供給する計画だという。米財務省は発表後、ロシア産軽油の世界市場への供給を認める一時的な許可措置を導入し、関連制裁を2027年4月まで一部緩和した。
背景には、米国での燃料価格の急騰がある。米自動車協会(AAA)によると、10月9日時点の全米の軽油価格は1ガロン当たり6.23ドル(1ドル160円で、1リットル当たり約263円)に達し、前年を大幅に上回った。9月22日には過去最高の6.52ドルを記録している。
イランをめぐる戦争などで世界のエネルギー供給が混乱し、農業や運輸業への負担が拡大している。トランプ氏は農家や牧場経営者、トラック運転手の負担軽減を重視すると強調した。
今回の決定は、トランプ氏が前月に署名した対露制裁強化策とも矛盾する。同政権はこれまで、ロシアのウクライナ侵攻を支えるエネルギー収入を抑えるため、経済的圧力を強めてきた。米国は2022年以降、ロシア産の石油・天然ガスの輸入を禁止していた。
ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は9日、制裁緩和がロシアの戦争継続を助けると警告した。一方、ロシア国内ではウクライナ軍による製油所攻撃などを背景に、軽油供給が逼迫し、輸出も制限されていた。専門家からは、製油所の損傷や輸出制限を踏まえると、ロシアが約束した量を実際に供給できるか疑問視する声も出ている。
今回の合意が燃料価格をどこまで押し下げるかは不透明だ。中間選挙を控えたトランプ政権にとって、家計や企業の負担軽減は重要課題だが、価格対策と対露制裁の整合性、ウクライナ支援への影響が新たな争点となる。
