ドイツ極右AfDを孤立させる「防火壁」に亀裂、州議会で既成政党の結束揺らぐ
AfDは9月の州議会選挙で歴史的勝利を収め、国政選挙での政権獲得を目標に掲げている。
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ドイツで極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」を既成政党から隔離する「防火壁(ファイアウォール)」が揺らいでいる。東部ザクセン・アンハルト州の州議会で、既成政党の議員が党の方針に反してAfD候補の議長選出を支持した可能性が浮上し、政界に波紋が広がっている。
同州議会(定数83)では今週、AfDのトビアス・ラウシュ(Tobias Rausch)氏が議長に選出された。同氏は採決で48票を獲得し、AfDと左派ポピュリスト政党BSWの議席数を合わせた票数を4票上回った。このため、メルツ(Friedrich Merz)首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)など、他党の議員が投票した可能性が指摘されている。CDU所属議員15人には採決を棄権するよう指示が出ていた。CDUの州副党首は、自党議員が指示に反して投票したのであれば、処分が必要との考えを示した。
AfDは9月の州議会選挙で歴史的勝利を収め、国政選挙での政権獲得を目標に掲げている。同党は全国世論調査でも1年以上にわたりCDUを上回る支持を得ており、2029年の連邦議会選挙に向けて存在感を強めている。今回の議長選出について、州首相候補のジークムント(Ulrich Siegmund)氏は「政治的転換点」と位置付け、議員個人の判断が党の方針を上回り得ることが示されたと主張した。
メルツ氏はAfDとの協力を拒否する姿勢を維持している。AfDは移民政策の厳格化やロシアとのエネルギー関係の回復を訴える一方、治安当局は同党の一部支部を過激派と認定している。AfDはこうした評価を否定し、ドイツ国民の利益と国家の価値を守る立場だと主張する。
AfD躍進の背景には、生活水準の低下に対する不満や、ドイツ経済を支えてきた安価なエネルギー供給の喪失、中国企業との競争激化などがある。年金や税制の改革も課題となり、旧東西地域の格差も残る。シュタインマイヤー(Frank-Walter Steinmeier)大統領は今週、政治への不信と社会の不安が民主主義を脅かしていると警告した。
既成政党がAfDとの協力を拒む「防火壁」は、これまで同党の連立政権参加を阻んできた。同党の支持率が高まる中、党派を越えた協力を維持できるかが問われている。ドイツ政界は民主主義の原則を守ることと、有権者の支持を集める政党への対応という難題に直面している。
