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好調な雇用統計が逆風に、トランプ氏の「経済ブーム」演出に試練

8月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比で16万2000人増加し、市場予想を大きく上回った。
米ニューヨーク証券取引所(ロイター通信)

米国の雇用情勢が持ち直す一方、トランプ(Donald Trump)大統領が掲げる「経済ブーム」の実現には依然として不透明感が残っている。8月の雇用統計では、非農業部門の就業者数が前月比で16万2000人増加し、市場予想を大きく上回った。失業率も4.1%と低水準を維持し、低迷していた雇用市場にとって明るい材料となった。

ところがトランプ氏は、この好調な結果を単純に歓迎しなかった。雇用の増加がインフレ圧力を強めるとの見方に反発し、物価高や高金利をめぐって連邦準備制度理事会(FRB)や金融市場、貿易相手国への批判を強めた。トランプ氏は金利が下がれば米国の国内総生産(GDP)が大幅に拡大すると主張し、FRBに利下げを求めている。

しかし、強い雇用情勢はむしろFRBがインフレ抑制のために金融引き締めを続ける根拠となり得る。インフレ率が目標を上回るなかで利下げを行えば、物価上昇をさらに加速させる可能性があるためだ。実際、好調な雇用統計を受けて米国債利回りは上昇し、株式市場にも下押し圧力がかかった。

トランプ政権は人工知能(AI)による生産性向上、関税による国内製造業の強化、減税による企業投資の拡大などを通じて、今後の高成長を実現できると説明している。一方、米国経済の成長率は現在おおむね年2%程度にとどまり、政権発足前に掲げた歴史的な経済成長とは隔たりがある。

さらに、関税やエネルギー価格の上昇などが物価を押し上げる要因となり、政府債務も40兆ドルを突破した。経済成長だけで巨額の財政赤字や債務問題を解決するのは難しく、歳出削減や増税を含む厳しい政策判断も必要になる。

中間選挙を控え、トランプ氏にとって最大の課題は、統計上の景気の強さを有権者の生活実感につなげられるかどうかだ。雇用が増えても物価や金利への不満が残れば、「経済ブーム」という政権の主張は説得力を失いかねない。

AP通信によると、トランプ氏の経済運営への支持率は今夏、32%まで低下しており、好調な雇用統計さえ政治的には追い風にならないという皮肉な状況が生じている。

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