◎民主党の中道右派議員は3.5兆ドル(約390兆円)の巨大予算法案に強い懸念を表明しており、予算額の見直しを求めている。
2021年10月1日/ワシントンD.C.議会議事堂、ジョー・バイデン大統領と民主党のナンシー・ペロシ下院議長(スーザン・ウォルシュ/AP通信)

10月1日、ジョー・バイデン大統領は約1兆ドル(約110兆円)のインフラ法案と下院民主党が提案した約3.5兆ドル(約390兆円)のヒューマンインフラ法案の行き詰まりを打開するために突然議会議事堂を訪れ、民主党員と協議した。

バイデン大統領は記者団に対し、「法案の成立に6分、6日、6週間かかったとしても、私たちは必ず成し遂げるつもりだ」と主張した。

一部の極めてリベラルな下院民主党員は、8月に下院を通過した気候変動対策や社会のセーフティネット拡充を含むヒューマンインフラ法案の上院通過を共和党が約束しない限り、下院は1兆ドルのインフラ法案の審議を行わないと脅迫している。

しかし、民主党の中道右派議員は3.5兆ドルの巨大予算法案に強い懸念を表明しており、予算額の見直しを求めている。

民主党のリベラルなナンシー・ペロシ下院議長は1日遅くの記者会見で、「妥協点を見つけるためにはもっと時間が必要だ」と述べた。9月30日に予定されていた1兆ドルのインフラ法案の審議は延期されており、いつ行われるかは不明。

主要メディアによると、バイデン大統領は予算法案に懸念を表明しているジョー・マンチン上院議員らと行き詰まりを打開するために協議したという。ABCニュースは、「バイデン大統領は党内の争いを望まず、妥協案で調整を進めるよう奨励した」と報じた。

一方、ロイター通信は情報筋のコメントを引用し、「バイデン大統領はヒューマンインフラ法案を約2兆ドルまで圧縮するよう議員らに提案し、規模は小さくなっても歴史的な投資であることに変わりはない」と述べたという。

1兆ドルのインフラ法案は上院超党派の支持を得ており、賛成多数で可決された。この予算法案には公共交通機関、インターネット網、上水道、港、その他のインフラの改修費用が盛り込まれている。しかし、リベラルな一部の下院民主党員は、より野心的なヒューマンインフラ法案を通過させるためにこの法案を人質にとった。

ヒューマンインフラ法案には法人税率の引き上げ、グローバル最低税の付与、15%の最低税の付与、化石燃料業界に与えられた税制上の優遇措置の廃止、幼児教育や大学教育向けの予算、有給と医療休暇向けの予算、オバマケアの強化と見なされている医療社会プログラムの予算、気候変動対策予算などが含まれている。

バイデン大統領は今週初めに予定していたシカゴへの主張をキャンセルできたため、インフラ法案の問題解決に向け議員をムチ打つことに集中できた。

最初に法案に懸念を表明した民主党のマンチン上院議員は今週、「バイデン大統領と話し合う準備はできている」と述べ、3.5兆ドルのヒューマンインフラ法案を1.5兆ドル以下に削減すると誓った。マンチン上院議員は先日、3.5兆ドルの支出を「狂気」と呼び、下院民主党のリベラルチームとバイデン大統領を批判していた。

一方、ドナルド・トランプ前大統領に最も危険な左翼と呼ばれたバーニー・サンダース上院議員は1日、「惑星の運命は3.5兆ドルの予算法案にかかっている」とツイートした。「強力な予算法案がなければ、温室効果ガスの排出量削減も、化石燃料システムの廃止も実現できません。私たちの惑星はアメリカの決定を待っています」

サンダース上院議員は下院民主党のリベラルチームに、「強力な和解予算法案でなければ、(1兆ドルの)インフラ法案は却下しなさい」と呼びかけた。

これに下院民主党の進歩的なイルハン・オマル議員が強く共鳴し、「党の法案を殺そうとするのは狂気だ」と述べ、マンチン上院議員を批判した。

上下両院は昨日、連邦政府の部分的な停止を回避する緊急予算法案を可決し、連邦政府職員数十万人の給与はひとまず12月まで保証された。

2021年10月1日/ワシントンD.C.議会議事堂、ジョー・バイデン大統領と民主党のナンシー・ペロシ下院議長(スーザン・ウォルシュ/AP通信)
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